2018年8月29日、潰瘍性大腸炎治療薬ベドリズマブ(商品名エンタイビオ点滴静注用300mg)が薬価収載された。適応は「中等症から重症の潰瘍性大腸炎の治療及び維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)」、用法用量は「成人、1回300mg。初回投与後、2週、6週に投与し、以降8週間間隔で点滴静注」となっている。

 潰瘍性大腸炎UC)は「主として粘膜を侵し、しばしばびらんや潰瘍を形成する大腸の原因不明のびまん性非特異性炎症」と定義されている慢性難治性の炎症性腸疾患(IBD)である。主な臨床症状は、持続性または反復性の粘便・血便などであり、しばしば下痢、腹痛、発熱を伴うこともあり、罹患部位や罹患範囲及び炎症症状の程度により、多彩な臨床症状を呈する。

 UCは厚生労働省の指定難病であり、発症原因の詳細が明確に解明されていないことから、根本的な治療法は確立されていないのが現状である。また、寛解と再燃を繰り返すことから、長期にわたる薬物治療が必要となっている。UC治療の基本は、病態に応じた治療法を選択し症状をコントロールすることであり、速やかに寛解導入を図り、寛解を長期に維持することが治療目標となる。

 薬物治療は、病態(病型・病期・重症度)によりサラゾスルファピリジン(サラゾピリン他)、5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤メサラジン(ペンタサアサコールリアルダ)などが軽症から中等症の寛解導入や維持を目的とした基本的治療薬となり、さらに各種ステロイド製剤、免疫抑制薬アザチオプリン(イムランアザニン)、アダリムマブ(ヒュミラ)などの抗TNFα製剤、ヤヌスキナーゼ阻害薬トファシチニブ(ゼルヤンツ)が使用されている。

 ベドリズマブは既存薬とは異なり、腸管に選択的に作用するヒト化抗ヒトα4β7インテグリンモノクローナル抗体である。具体的には、ヒトリンパ球上のα4β7インテグリンと消化管粘膜に発現する粘膜アドレシン細胞接着分子-1(MAdCAM-1)との接着に拮抗することで、消化管粘膜および腸管関連リンパ系組織へのリンパ球浸潤を抑制する。この結果、消化管炎症を抑制する。

 また、他のα4またはβ7インテグリンの二量体には結合せず、中枢神経や皮膚等の多くの臓器に発現する血管細胞接着分子-1(VCAM-1)との接着には拮抗しないことから、全身的な免疫抑制を来すことなく腸管に選択的に免疫調節作用を発揮する特徴がある。

 既存治療(ステロイド、アザチオプリン、6-メルカプトプリン、抗TNFα製剤のうち少なくとも1剤)で効果不十分な中等症〜重症の患者を対象に、プラセボを対照とした国内第3相臨床試験及び海外第3相臨床試験(導入療法と維持療法)で本薬の有効性及び安全性が確認された。

 承認時までの国内外の臨床試験から副作用(臨床検査値異常を含む)が24.2〜32%認められている。主な副作用は頭痛、上気道感染、関節痛、鼻咽頭炎などであり、重大なものはInfusion reaction、肺炎や敗血症などの重篤な感染症がある。また、他のインテグリン拮抗薬(ヒト化抗ヒトα4インテグリンモノクローナル抗体)である多発性硬化症治療薬ナタリズマブ(タイサブリ)では進行性多巣性白質脳症(PML)が報告されているので十分注意する。