2018年7月2日、抗悪性腫瘍薬デュルバルマブ(商品名イミフィンジ点滴静注120mg、同点滴静注500mg)の製造販売が承認された。適応は「切除不能な局所進行の非小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法」、用法用量は「成人に1回10mg/kgを2週間間隔で60分間以上かけて点滴静注。投与期間は12ヵ月まで」となっている。

 肺癌のうち、80%以上は非小細胞肺癌NSCLC)といわれており、多くは診断された時点で進行または転移が認められ、5年生存率も低いといわれている。従来から肺癌治療には、外科治療、薬物療法[シスプラチン(ランダ、ブリプラチン他)などのプラチナ製剤を含む細胞障害性抗癌薬]、放射線療法があるが、近年、癌免疫療法、特に非特異的免疫調節制御因子に抑制的に作用する免疫チェックポイント機構に関連した治療が行われている。がん微小環境において免疫チェックポイント機構には、プログラム細胞死1(PD-1)、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)やCTLA-4などのT細胞表面分子を介した経路や制御性T細胞、骨髄由来制御性細胞など様々な因子が関与している。

 NSCLCでは、PD-1に対してニボルマブ(オプジーボ)とペムブロリズマブ(キイトルーダ)、PD-L1に対してアテゾリズマブ(テセントリク)が免疫チェックポイントに対する抗ヒト/ヒト化モノクローナル抗体として適応を有している。

 NSCLCでは、局所進行(ステージ3)NSCLC患者が約20%を占めており、多くの場合が切除不能で根治的化学放射線療法(根治的CRT)の適応となっている。しかし、根治的CRTを行っても89%は病勢が進行、転移しており、5年生存率は15%との報告がある。

 デュルバルマブは、アテゾリズマブと同じPD-L1に結合し、PD-L1とその受容体であるPD-1の相互作用を阻害することにより、がん抗原特異的なT細胞の細胞傷害活性を増強してがん増殖を抑制するヒト型抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体である。また、「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」が適応のアテゾリズマブと異なり、ステージ3の根治的CRT後の維持療法に適応を有した日本初となる抗PD-L1製剤である。

 切除不能局所進行のNSCLCで根治的CRTを行い、病態進行が認められなかった患者(日本人を含む)を対象とした国際共同第3相臨床試験(PACIFIC試験)では、プラセボ群に比べて無増悪生存期間を有意に延長し、有効性が確認された。海外では、2018年6月現在、ステージ3のNSCLCの適応で米国、カナダ、スイス、インドで承認されている。

 国際共同第3相臨床試験で副作用が67.8%に認められている。主なものは発疹(15.4%)、甲状腺機能低下症(10.5%)、下痢、間質性肺疾患(各9.7%)など。重大な副作用として間質性肺疾患(放射線性肺臓炎を含む)、大腸炎、重度の下痢、甲状腺機能障害、副腎機能障害、下垂体機能障害、1型糖尿病、肝機能障害、肝炎、腎障害、筋炎、横紋筋融解症、Infusion reactionが起こる可能性があるため注意が必要である。