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【新薬】イキサゾミブ(ニンラーロ)
多発性骨髄腫に初の経口プロテアソーム阻害剤

2017/06/12
北村 正樹(東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部)

 2017年5月24日、抗悪性腫瘍薬イキサゾミブクエン酸エステル(商品名ニンラーロカプセル2.3mg、同カプセル3mg、同カプセル4mg)が薬価収載と同時に発売された。本薬は3月30日に製造販売が承認されていた。適応は「再発または難治性の多発性骨髄腫」。レナリドミドおよびデキサメタゾンとの併用において、1日1回4mgを空腹時に週1回、3週間(1、8および15日目)経口投与し、13日間休薬(16~28日目)する。この4週間を1サイクルとして、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。

 多発性骨髄腫MM)は、骨髄中の形質細胞が癌化し、再発を繰り返す難治性の造血器腫瘍である。MMでは貧血、腎障害、骨痛および骨折、血液中のCa値上昇などの症状が発現する。日本における推定患者数は約1万8000人とされており、MM治療としては、プロテアソーム阻害薬ボルテゾミブ(ベルケイド)、カルフィルゾミブ(カイプロリス)や、免疫調節薬サリドマイド(サレド)、レナリドミド(レブラミド)、ポマリドミド(ポマリスト)、さらに近年になりヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害薬パノビノスタット(ファリーダック)、ヒト化抗ヒトSLAMF7モノクローナル抗体エロツズマブ(エムプリシティ)を用いた複数のレジメンが使用されている。

 イキサゾミブは、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブと同様に、細胞内に存在する蛋白質分解酵素複合体(プロテアソーム)に結合し、キモトリプシン様活性を不可逆的かつ選択的に阻害する抗悪性腫瘍薬である。プロテアソームは細胞周期に重要な役割を果たしているため、これを阻害することで癌細胞のアポトーシスを誘導し、腫瘍増殖を抑制すると考えられている。

 ボルテゾミブとカルフィルゾミブが注射製剤であるのに対して、イキサゾミブは新規の経口製剤であることが大きな特徴となっている。そのため、レナリドミドとデキサメタゾンと併用した経口製剤3剤によるレジメンが可能になった。

 1~3種類のレジメンの前治療歴を有する再発または難治性のMM患者を対象とした国際共同第3相二重盲検比較試験で、レナリドミド・デキサメタゾン併用下のプラセボ群と比較して、イキサゾミブ・レナリドミド・デキサメタゾン療法の無増悪生存期の有意な延長が認められている。海外では、2015年11月に米国で承認され、2016年11月には欧州の国および地域で承認されている。また、日本では2016年2月に希少疾病用医薬品として指定されていた。

 再発または難治性のMM患者を対象とした国際共同第3相臨床試験において、臨床検査値異常を含む副作用が93%に認められていることに十分注意する。主な副作用には下痢、好中球減少症(各30%)、血小板減少症(28%)、末梢神経障害(22%)、疲労(21%)があり、重大な副作用としては血小板減少症、重度の下痢、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、末梢神経障害、可逆性後白質脳症症候群が報告されている。

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