2017年5月24日、抗悪性腫瘍薬フォロデシン塩酸塩(商品名ムンデシンカプセル100mg)が薬価収載と同時に発売された。本薬は、3月30日に製造販売が承認されている。適応は「再発または難治性の末梢性T細胞リンパ腫」。成人に1回300mgを1日2回経口投与するが、患者の状態により適宜減量する。

 末梢性T細胞リンパ腫PTCL)は、リンパ球の中のT細胞から発生する非ホジキンリンパ腫であり、月単位で疾病が進行する「中悪性度」に分類されている。PTCLは中悪性度リンパ腫の10~15%を占めており、進行期(3期、4期)になってから発見されることが多く、リンパ節の腫脹と全身症状としてB症状(発熱、大量の寝汗、体重減少など)が認められる。

 PTCLの一次治療としては、CHOP療法(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロンの多剤併用療法)が用いられており、局限期には放射線療法も行われる。しかしこれらの療法において、治療効果は必ずしも良好とはいえない現状がある。

 現在、PTCLの二次治療としては注射製剤が限定的に使用されており、PTCLの細胞表面マーカーとして確認されているCCR4陽性症例に対してはモガムリズマブ(ポテリジオ)が、CD30抗原陽性症例にはブレンツキシマブベドチン(アドセトリス)が用いられている。しかし、二次治療以降の標準治療も確立されておらず、また多くの患者が造血幹細胞移植の適応とならない高齢者であるため、治療選択肢は非常に狭くなっていた。

 フォロデシンは、ヒトT細胞の増殖に関与するプリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP)の経口の阻害薬である。具体的には、PNPを阻害することでプリン代謝を抑制し、細胞内で2’-デオキシグアノシン三リン酸(dGTP)を蓄積させ、アポトーシスを誘導することでT細胞由来の腫瘍の増殖を抑制すると考えられている。

 フォロデシンは、世界に先駆けて日本で開発が進められた経口薬である。単剤で使用できるため、点滴や入院、通院などの必要がなく、患者の負担軽減が見込まれている。

 再発または難治性のPTCL患者を対象とした国内第1/2相臨床試験(FDS-J02試験)において、第2相部分の有効性評価対象例において客観的奏功率は22.5%であった。また、2008年6月に希少疾病用医薬品に指定されている。

 国内第1/2相臨床試験において、全例に何らかの副作用が認められていることに十分注意する必要がある。主な副作用は、リンパ球減少(97.9%)、白血球減少(60.4%)、貧血(35.4%)、好中球減少(33.3%)などであり、重大な副作用としては帯状疱疹、サイトメガロウイルス感染、肺炎などの感染症、骨髄抑制、エプスタイン・バーウイルス(EBV)関連悪性リンパ腫が報告されている。また、B型肝炎ウイルスなどの再活性化があらわれる可能性があることから十分な注意が必要となる。

 臨床試験においてリンパ球減少などの骨髄抑制を含む副作用が必発しているので、投与開始前および投与中は定期的に血液検査を行い、患者の状態を十分に観察することが必要である。