2017年2月15日、抗ウイルス薬テノホビル アラフェナミドフマル酸塩(商品名ベムリディ錠25mg)が薬価収載と同時に発売された。本薬は、2016年12月19日に製造販売が承認されている。適応は「B型肝炎ウイルスの増殖を伴い肝機能の異常が確認されたB型慢性肝疾患におけるB型肝炎ウイルスの増殖抑制」。1日1回、25mgを経口投与する。

 B型肝炎ウイルス(HBV)の主な感染経路は母子間感染であるが、その約9割は自然経過によりHBVが減少し、健康なキャリアとなる。しかし、残りの1割ほどは炎症が長期化してB型慢性肝炎に至る。慢性肝炎は年率約2%で肝硬変へと進展し、肝硬変は年率約3%で肝癌が発生することが知られている。そのため、B型慢性肝炎の治療においては、HBVを排除して炎症を鎮静化することが最終目標となる。近年、ワクチンが広く使用されるようになったことで新規HBVキャリアの発生は大きく減少している。

 B型慢性肝炎治療には、インターフェロン療法、ステロイド離脱療法などがあるが、近年では経口抗ウイルス療法が積極的に行われるようになってきた。経口抗ウイルス療法で使用される薬剤(核酸アナログ製剤)としては、ラミブジン(LAM、ゼフィックス)、アデホビル ピボキシル(ADV、ヘプセラ)、エンテカビル(ETV、バラクルード)、テノホビル ジソプロキシル(TDF、テノゼット)があり、これらの薬剤の使用でB型慢性肝炎の治療は飛躍的に向上した。しかし、多くの患者では生涯にわたって治療を継続する必要があることから、強力かつ安全で簡便な投与ができ、耐性の出現しにくい薬剤の開発・承認が期待されていた。

 テノホビル アラフェナミド(TAF)は、TDFと同じテノホビルのプロドラッグ製剤である。TDFよりも血漿中において安定していて、加水分解されることで薬剤活性を示す代謝物テノホビル二リン酸となる。テノホビル二リン酸が標的細胞内にて高濃度で産生されるため、TDFの1/10程度の投与量で、同等の抗HBV作用を発揮することが認められている。

 2つの臨床試験(日本人を含む、未治療例およびB型肝炎ウイルスe抗原[HBe抗原]が陰性の患者、HBe抗原陽性のB型慢性肝疾患患者を対象とした国際共同第3相臨床試験)では、48週時までの有効性と有害事象の発現割合がTDFと同程度であることと非劣性であることが示された。さらに、骨および腎機能への影響に関してはTDFよりも良好であったことが確認された。海外では、2016年12月現在、米国で承認されている。

 薬剤使用に際しては、投与48週時までの2つの臨床試験において14.2%に臨床検査値異常を含む何らかの副作用が認められていることに十分注意する。主な副作用には、悪心(2.0%)、疲労および頭痛(1.4%)、腹部膨満(1.0%)などがあり、重大な副作用としては腎不全等の重度の腎機能障害、乳酸アシドーシスおよび脂肪沈着による重度の肝腫大(脂肪肝)が報告されている。