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【新薬】カルグルミン酸(カーバグル)
尿素回路を活性化する高アンモニア血症治療薬

2017/02/13
北村 正樹(東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部)

 2016年12月22日、高アンモニア血症治療薬カルグルミン酸(商品名カーバグル分散錠200mg)が発売された。本薬は、2016年9月28日に製造販売が承認され、11月18日に薬価収載されている。適応は「N-アセチルグルタミン酸合成酵素欠損症、イソ吉草酸血症、メチルマロン酸血症、プロピオン酸血症によって生じた高アンモニア血症」。1日100~250mg/kgから開始し、1日2~4回に分けて用時、水に分散して経口投与する。その後は患者の状態により適宜増減する。また、食事による血中アンモニア濃度上昇を防ぐために、可能な限り食前服用するよう患者に指導する必要がある。

 N-アセチルグルタミン酸合成酵素(NAGS)欠損症は、尿素回路異常を生じる常染色体劣性遺伝疾患である。尿素回路の最初のステップであるカルバミルリン酸合成酵素I(CPS I)の活性化に必要なN-アセチルグルタミン酸(NAG)の合成が不能になることで、アンモニアの過剰な蓄積を引き起こす。

 また、有機酸代謝異常症であるイソ吉草酸血症、メチルマロン酸血症、プロピオン酸血症は、いずれもアミノ酸代謝経路の酵素欠損により、高アンモニア血症を発症する。蓄積した中間代謝物である有機酸がNAGS活性を拮抗阻害することで、NAGS欠損症と同様の病態を示す。

 これらの高アンモニア血症では、迅速かつ適切な治療を行わなければ神経障害などの不可逆的な障害が生じ、発育障害や死亡を引き起こす可能性がある。そのため治療に際しては血中アンモニア濃度を速やかに低下させ、血中アンモニア値をコントロールすることが重要となる。病態によって治療は異なるものの、蛋白質制限などの食事・栄養管理と、血中アンモニアを体外に排泄促進するL-アルギニン(アルギU)、フェニル酪酸ナトリウム(ブフェニール)などを用いた薬物療法が基本となっている。しかし、現状では血中アンモニア値のコントロールが不十分となる症例も少なからず報告されていた。

 カルグルミン酸は、CPS Iを活性化させるNAGの構造類似体であり、尿素回路を活性化させることにより血中アンモニア濃度を低下させる薬剤である。海外では2003年に欧州で、2010年に米国で承認されて以降、2016年6月までで世界42カ国で承認されている。

 日本では、日本先天代謝異常学会から開発要請が提出され、2010年4月「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で高い評価を得たことで、今回の承認に繋がった。また、本剤は2014年11月に希少疾病用医薬品に指定されている。

 国内外臨床試験では精神障害(高揚状態など)、味覚異常、多汗症などの副作用が認められていることに十分注意する。なお、国内での治験症例が限られていることから一定期間、全症例を対象とした使用成績調査を実施することが承認条件となっていることにも留意する必要がある。

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