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【新薬】ポナチニブ(アイクルシグ)
治療抵抗性リンパ性・骨髄性白血病の治療薬

2016/11/25
北村 正樹(東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部)

 2016年11月18日、抗悪性腫瘍薬ポナチニブ塩酸塩(商品名アイクルシグ錠15mg)が薬価収載された。本薬は、9月28日に製造販売が承認されている。適応は「前治療薬に抵抗性または不耐容の慢性骨髄性白血病」と「再発または難治性のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病」。用法用量として1日1回45mgを経口投与するが、患者の状態により適宜減量する。

 慢性骨髄性白血病CML)およびフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病Ph+ALL)は、骨髄の造血幹細胞に異常が生じる白血病であり、どちらもフィラデルフィア染色体が認められる。フィラデルフィア染色体は骨髄の造血幹細胞の第9染色体と第22染色体の相互転座により生じ、細胞を無制限に増殖させる作用を獲得してしまう。具体的には相互転座によりBCR遺伝子とABL遺伝子が融合し、そのキメラ遺伝子(BCR-ABL遺伝子)が産生するBcr-Ablチロシンキナーゼが、発症や病態形成に深く関与していると考えられている。

 現在、CMLやPh+ALLの治療選択肢には同種造血幹細胞移植やBcr-Ablチロシンキナーゼの選択的阻害剤を用いた薬物療法がある。薬物療法では、チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)として最初に登場したイマチニブ(グリベック他)に続き、ニロチニブ(タシグナ)、ダサチニブ(スプリセル)、ボスチニブ(ボシュリフ)など次々と高い効果が期待できるTKIが使用可能になってきた。
※2016年11月時点でCMLのみの適応。

 しかし、一部の患者では治療中にBCR-ABL遺伝子が変異を起こし、既存のTKIに抵抗性を示して十分な治療効果が得られない。

 ポナチニブは、イマチニブなどと同じ選択的Bcr-Ablチロシンキナーゼ阻害薬である。前治療薬としてダサチニブまたはニロチニブに抵抗性または不耐容のCMLならびに再発または難治性のPh+ALL患者を対象とした国内第1・2相試験および海外第2相試験で有効性が認められた。海外では、2016年5月までで、米国、欧州、スイス、オーストラリアなど世界36カ国以上の国と地域で承認されており、日本では2015年9月に希少疾病用医薬品に指定されている。

 国内第1・2相試験では、副作用が97.1%認められていることに十分注意する必要がある。主な副作用として、発熱(48.6%)、血小板数減少(45.7%)、高血圧(37.1%)、リパーゼ増加(31.4%)などがある。重大な副作用としては冠動脈疾患、脳血管障害、末梢動脈閉塞性疾患、静脈血栓塞栓症、骨髄抑制、高血圧、肝機能障害、膵炎、体液貯留、感染症、重度の皮膚障害、出血、心不全、不整脈、腫瘍崩壊症候群、ニューロパチー、肺高血圧症が報告されている。

 薬剤使用に際しては、治験での日本人に対する投与実績が少ないことから、発売後、一定数の症例が集積されるまで全症例を対象に有効性と安全性に関して使用成績調査することが承認条件となっている。また、添付文書の警告欄にも記載されている心筋梗塞などの血管閉塞性事象、肝毒性の重篤な副作用発現について厚生労働省から注意喚起が行われている。

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