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【新薬】スボレキサント
ベルソムラ:新機序の不眠症治療薬

2014/10/17
北村 正樹=東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部

 2014年9月26日、不眠症治療薬スボレキサント(商品名ベルソムラ錠15mg、同錠20mg)の製造販売が承認された。適応は「不眠症」で、1日1回20mg、高齢者には1日1回15mgを就寝直前に経口投与する。

 不眠症は日常の生活の質を低下させ、うつ病の危険因子であることが明らかになっている。また、不眠症患者は健常人と比べて糖尿病や高血圧の有病率が高いことが報告されており、これらの発症を助長する危険因子としても注目されている。日本では、成人の3人に1人が「寝つきが悪い」「睡眠中に何度も目が覚める」など何らかの不眠症状を有しているといわれている。

 現在、不眠症治療の中心となるのは薬物療法である。使用される睡眠薬としては、ペントバルビタール(商品名ラボナ)などのバルビツール酸系の依存性の強い睡眠薬から、より忍容性の高いトリアゾラム(商品名ハルシオン他)などのベンゾジアゼピン系、ゾルピデム(商品名マイスリー他)などの非ベンゾジアゼピン系、ラメルテオン(商品名ロゼレム)のメラトニン受容体作動系の睡眠薬に移ってきている。

 睡眠薬の処方頻度が高まる中、高い治療効果はあるものの、一部の患者では長期服用時の依存(耐性、離脱症状、高用量投与、多剤併用)や乱用(過量服用など)が大きな社会問題となっている。

 スボレキサントは既存の薬剤とは異なる、新しい作用機序を有している。すなわち、覚醒を維持する神経伝達物質であるオレキシンの受容体への結合をブロックすることで、過剰な覚醒状態を抑制し、脳を覚醒状態から睡眠状態へと移行させる生理的なプロセスをもたらす、世界初のオレキシン受容体拮抗薬となっている。

 第3相国際共同試験(対象:日本人を含む原発性不眠症患者)では、スボレキサントの3カ月間就寝前投与により、睡眠維持効果および入眠効果が認められている。さらに、6カ月間投与における安全性および忍容性に関しても概ね良好であった。海外では、2014年8月に米国で承認されている。

 第3相国際共同試験では、20.9%に副作用が認められている。主な副作用は傾眠(4.7%)、頭痛(3.9%)、疲労(2.4%)であった。また薬物相互作用としてCYP3A4を強く阻害する薬剤(イトラコナゾール[商品名イトリゾール他]など)とは、本薬の代謝が阻害され、作用が増強する可能性があることから併用禁忌となっている。なお、食後および食直後の服用では、効果発現が遅れることにも注意しなければならない。

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