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第8回 炎症は病気のシグナル(その4)
インフルエンザが、後々までトラブルをもたらすわけ

2013/11/13
デイビッド・B・エイガス氏

 ゆえに私は、インフルエンザワクチンを高く評価している。仮にインフルエンザへの感染を防げなかったとしても、激しい炎症を起こさずにすむからだ。炎症の影響が生涯に及ぶとなれば、なおさらである。2006年、米国心臓協会と米国心臓病学会は、冠状動脈疾患やアテローム性動脈硬化症の患者への二次予防策(病気の重症化を予防する策)としてインフルエンザ予防接種を推奨した。これは、心血管疾患の患者に毎年インフルエンザワクチンを接種すれば、致命的な心臓発作や脳卒中を防ぐだけでなく、あらゆる病気で亡くなるリスクも下げることができるという、複数の研究結果に基づくものだった。

 私は、インフルエンザワクチンは一次予防策(病気の発症を予防する策)にもなると信じている。毎年ワクチンを受けないのであれば、病気の人との接触を避けよう。健康的な生活をして、鼻水を垂らしている人に近づかないようにしよう。人から離れていること。このようなアドバイスは軽く見られがちだが、極めて大切なことなのだ。

 以上のことを考えたうえで、話を日常生活に戻そう。炎症全般を減らし、関節や腰の負担を軽くするには、日々、足に優しい靴を履くことほど簡単な方法はない。ありがたいことに、ナイキやプーマといったランニングシューズのメーカーが、フォーマルな場でも快適な靴で過ごしたいと願う私のような人向けに、おしゃれな靴を作るようになった。しなやかで軽く、足を守ってくれる靴を選ぶとよいだろう。ハイヒールやピンヒールのパンプスは、いくらあなたが大丈夫だと言い張ったとしても、お勧めできない。足に良い靴を履くというのは、それほど難しいことではなく、良質な一足は、あなたをずっと守ってくれるのだ。毎日スニーカーを履く理由がもっと必要だと言うのであれば、日常生活に運動を取り入れやすくなる、と言っておこう。そうすれば、炎症を減らすだけでなく、体の複雑なシステムの「選択肢」を増やすことができるだろう。

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著者プロフィール

デイビッド・B・エイガス氏 米国南カリフォルニア大学(USC)ケック医学校教授、USCビタビ工学校教授、USCウエストサイド・がんセンター長および応用分子医学センター長。プロテオミクスとゲノミクスを応用した癌予防法の開発に取り組む。アップル創業者である故スティーブ・ジョブズ氏の担当医も務めた。

連載の紹介

ジエンド・オブ・イルネス ~ がん治療医がたどり着いた「病気の真実」
なぜ人類は、癌に打ち勝つことができないのか? 気鋭の癌研究者がまったく新しいアプローチで病気や健康の真実に迫り、米国で50万部のベストセラーになった『ジエンド・オブ・イルネス:病気にならない生き方』(日経BP)が、このほど出版されました。本コラムでは、その一部を抜粋して紹介します。
『ジエンド・オブ・イルネス 病気にならない生き方』好評販売中

米国南カリフォルニア大学(USC)ケック医学校教授で、プロテオミクスとゲノミクスを応用した癌の予防法の開発に取り組む著者が、健康に生きるにはどうすればよいか、その秘訣をアドバイスします。(デイビッド・B・エイガス著、野中香方子訳、日経BP社、2100円税込)

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