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第2回
自分の処方提案には「責任とります」と言えるように
日本医科大学付属病院薬剤部薬剤部長 片山志郎氏に聞く

2010/01/21

──病棟で先生の業務が認知されたんですね。

片山 そうですね。最終的には、臨床講堂で講演させ頂く機会を得て、薬剤部がこういった情報提供をする部門だということが定着しました。92、93年頃の話だったと思います。

──薬剤師の処方提案に対して、「責任がとれるのか」と言われることがあると聞きます。

片山 そうですね。私は部内の薬剤師に、「責任をとります」と言いなさい、と指導しています。

 我々が提案した処方によって患者に問題が生じたとしても、我々は当然責任をとることができません。最終的には医師の責任になってしまうわけです。しかし、私は医師に対して、「治療を援助したいんです。自分が言ったことに対してどんな形でとれるか分かりませんが、責任をとります」と言ってきました。そこまで言うなら1回任せてみようか、と医師に感じていただいたと思っています。

 何を根拠に「責任とります」と言えるのか。やはり自分が提供しようとしている情報に自信が持てていることが大切だと思います。少しでも不安を感じているようだったら提案すべきではないでしょう。自分の中に、少なくとも自分自身が納得できる根拠を持てるようにするしかないですね。

 当時の日課は、毎日夕方論文をコピーしては通勤電車内で読んで、と論文を乱読することでした。そのおかげで、自分の中に確たる根拠を持った上で、自分の言葉で医師に提案することができましたし、セオリーとは異なる反応を示す患者に対しても対応できるようになりました。

 大学では薬理薬効を中心に学びますし、例えば高血圧や糖尿病といった疾患は知っているのですが、その成因まで頭が回っていないことが多いと感じています。病棟に出るわけですから、病態をきちんと把握し、病態から薬物を選択できるようになることが重要です。

──先生は、緩和ケアにおけるアカシジアへの対応の重要性を主張されています。

片山 オピオイドを使った緩和ケアの副作用に悪心嘔吐腸管蠕動運動の抑制があり、この副作用に対して抗精神病薬や抗ドパミン薬などが使われますが、これによって別の副作用が発生する場合があります。それがアカシジアと呼ばれる薬原性錐体外路症状の1つです。不眠、焦燥感、いらいら、激昂などの症状が早期から見られますが、これまでアカシジアと診断されることはわずかで、本来すべき治療とは異なる治療が行われることが多かったと思います。

 病棟で業務をしていた頃、Cancer Pain reliefに書かれていた副作用に対する薬物療法について、いくつかはその通りに行かないな、と思っていました。薬剤師は、抗ドパミン系薬を長期連用するとパーキソニズムを起こすことは大学で学ぶので、錐体外路症状を連想しやすいという背景があります。錐体外路症状=パーキソニズムと一対一の関係で覚えることが多いのですが、錐体外路症状にはいくつも種類があることを知り、アカシジアを疑うことができました(図参照)。

オピオイド投与による副作用の対策の概要(片山氏より、画像をクリックすると拡大します)

──最後に癌診療にかかわる薬剤師にアドバイスをお願いします。

片山 自分が行ったことが患者のQOL向上につながるなどやりがいがありますが、それだけ責任も重いということです。責任に見合うだけの勉強、情報収集をし続けてほしいと思います。

 大病院から中小規模の病院、調剤薬局など、置かれた環境はそれぞれ異なると思いますが、どんな環境でも学ぶことができるし、行動できると思います。最初から「自分の置かれた環境では難しい」とあきらめるようであれば、どこに行ってもできないですよね。



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