日経メディカルのロゴ画像

第1回
常にレジメン単位で考え、指導にあたるべき
癌研有明病院薬剤部長 濱敏弘氏に聞く

2009/06/22

──レジメンという言葉の意味を改めて考える必要があると主張されています。

 ええ。レジメンと似た言葉にプロトコールがあります。レジメンもプロトコールもおおまかには手順を意味するわけですが、レジメンには時間の概念が含まれていることがプロトコールとの大きな違いと考えます。

 例えば、抗癌剤投与による吐き気を予防するために5HT3受容体拮抗剤を投与してから抗癌剤を投与するという手順を定めた場合、制吐剤投与、抗癌剤投与という順番が守られるだけでなく、制吐剤投与から抗癌剤投与までの時間を守ることも重要になります。

 投与する順番が合っているからといって制吐剤投与後2時間も経ってから抗癌剤を投与したのでは正しい治療とは言えません。抗癌剤の投与準備ができて、その直前に制吐剤を投与するという時間的な概念が必要になります。

 こうしたレジメンを中心とする説明を行うために、常に情報を収集する気持ちを持つことが重要だと思いますね。

──近年、外来で化学療法を行うことが多くなっています。これに伴って薬剤師が注意すべきことはありますか。

 外来化学療法の場合、「副作用が自宅で起こる」点が、入院で癌治療を行う場合と異なるところです。そのため、様子を見ながら薬の服用を加減することがあるのですが、自分あるいは家族で対処できる範囲と、医師・薬剤師に連絡し指示を求める場合の線引きが重要と思います。

 例えば、抗癌剤投与後、10日後にだるさを感じたり発熱が見られた場合には、事前の指示に従い抗菌剤を3日間服用し様子をみること、3日たっても38度以下に下がらないならば病院に連絡すること。また、下痢が見られる抗癌剤の場合、下痢止めが処方され様子を見ながら服用を調整するように指示されますが、それでも1日5回以上の水様便が見られるならば、我慢せずにすぐに病院に連絡すること、など説明する必要があります。こういった説明は医師や看護師からも受けているはずですが、薬剤師も行うべきと思います。

──最近は、病院の薬剤師だけでなく、調剤薬局の薬剤師も癌治療にかかわる処方箋を受け取る機会も増えてきました。

 そうですね。しかし、現状では、処方箋にレジメンが書いてあるわけではないので、どんな治療を受けているのか分からないことが多いと思います。

 病院で注射抗癌剤投与を受けて、調剤薬局では支持療法に関する処方箋を扱うことも多いと思いますが、それを見ただけでは患者さんが受けているレジメンが分からないことも多いでしょう。そもそも患者さんが癌患者なのかさえ分からないこともあるでしょう。

 そのためにも、病院との連携や、近隣の医療機関などとの情報交換の場が多く持たれ、コミュニケーションが進んでいくことが重要だと思っています。

 最近、患者さんは病院から自分が受けている治療法に関するパンフレットをもらうことが増えています。そういったパンフレットを見れば治療の概要が推測できることもあるので、来局された際に、「治療に関するパンフレットなどをもらっていませんか」と問いかけてみるといった方法も有効かもしれません。

  • 1
  • 2
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んでいる人におすすめ