●トポイソメラーゼ阻害薬
細胞中のDNAは、通常、2本鎖が自然にねじれて小さく折りたたまれている。細胞が分裂する際のDNAの複製や遺伝子発現のための転写が行われる場合、DNAのねじれがほどかれて複製、転写される。トポイソメラーゼは、DNAを切断してねじれをほどき、つなぎ直す働きを持つ。
トポイソメラーゼには1本鎖DNAと反応するトポイソメラーゼⅠと2本鎖DNAと反応するトポイソメラーゼⅡがある。DNAのねじれをほどく働きを阻害するため、DNA合成が行われず、細胞死を誘導する。
後述する抗癌抗生物質の中には、トポイソメラーゼⅡ阻害活性を持つものもあり、ドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシンなどがある。これら薬剤は、DNAを切断してつなぎ直す働きを阻害するとともに、DNA間で架橋を形成し、DNA合成を阻害する。
(下表では、商品名をクリックすると、医薬品情報の詳細を表示します)
種類名 | 一般名 | 適応症 | 商品名 |
トポイソメラーゼ Ⅰ阻害剤 |
イリノテカン | 悪性リンパ腫,再発胃癌,再発結腸癌,再発直腸癌,再発乳癌,子宮頚癌,手術不能胃癌,手術不能結腸癌,手術不能直腸癌,手術不能乳癌,小細胞肺癌,非ホジキンリンパ腫,非小細胞肺癌,有棘細胞癌,卵巣癌 | カンプト注 |
カンプト注 | |||
カンプト点滴静注40mg | |||
カンプト点滴静注100mg | |||
トポテシン注 | |||
トポテシン注 | |||
ノギテカン | 小細胞肺癌 | ハイカムチン注射用1・1mg | |
トポイソメラーゼ Ⅱ阻害剤 |
エトポシド | 悪性リンパ腫,急性白血病,小児ユーイング肉腫ファミリー腫瘍,小児悪性固形腫瘍,小児横紋筋肉腫,小児肝芽腫,小児肝原発悪性腫瘍,小児神経芽腫,小児腎芽腫,小児腎原発悪性腫瘍,小児網膜芽腫,性腺外腫瘍,精巣腫瘍,肺小細胞癌,卵巣腫瘍,睾丸腫瘍,絨毛性疾患,胚細胞腫瘍,膀胱癌 | エトポシド点滴静注液100mg「サンド」 |
ラステット注100mg/5mL | |||
ベプシド注100mg | |||
悪性リンパ腫,子宮頚癌,肺小細胞癌 | ラステットSカプセル25mg | ||
ベプシドカプセル25mg | |||
ベプシドS50 | |||
ラステットSカプセル50mg | |||
ベプシドカプセル50mg | |||
ベプシドS25 |