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分子標的薬剤投与時の皮膚症状管理

2010/02/22
静岡県立静岡がんセンター 薬剤部 鈴木賢一

経過

2次治療目的のため入院

エルロチニブ開始決定
薬剤管理指導施行
 エルロチニブ開始されるため、初回指導
 もともと乾燥肌とのこと
 ゲフィチニブによる皮膚障害への注意喚起とともに予防対策につきチーム内で検討


【提案内容】
季節的にも乾燥しやすくなるため、保湿剤の処方につき提案

ヘパリン類似物質(ヒルドイドローション)処方となる

エルロチニブ d10
顔面鼻翼周囲ににきび様皮疹発現 G1 皮膚乾燥(+)掻痒(-)
対応策につきチーム内で検討


【提案内容】
ご本人は退院後の仕事復帰希望あり。
また人前に出る機会が多いため化粧品の使用を希望されている
べとつきの少ないクリーム基剤でmedium classのステロイド外用剤を提案

酪酸ヒドロコルチゾンクリーム(ロコイドクリーム)が処方となる

エルロチニブ d14
にきび様皮疹増悪 G2 
皮膚科受診
 吉草酸ベタメタゾン(リンデロンV軟膏)に変更
 ヒルドイドローション継続
 ミノサイクリン 100mg/d 内服開始


エルロチニブ d17 退院

【退院時指導】
・ステロイド軟膏につき1日2回 朝夕 指示されたとりに使用
・強めのステロイドを顔面へ使用中であるが、勝手に回数を減らしたり止めたりすること
で、かえって治療期間が長期化することがある。1-2週間継続使用し症状が和らいだら弱
めのステロイドに変更が可能であることを説明
・入浴後や洗顔後15分以内に保湿剤を使用

エルロチニブ d21
悪心嘔吐のため食事摂取量低下、脱水なども重なったため本人の強い希望もあり緊急入院 
本人は悪心の原因はエルロチニブとの疑念あり
エルロチニブ一時中止


対策につきチーム内で検討
エルロチニブによる現段階での効果判定はPR→なるべく継続したい
エルロチニブによる悪心・嘔吐の可能性
エルロチニブを原因薬剤とした場合、再開時は減量が必要か


【提案】
ミノサイクリンによる悪心嘔吐の可能性も無視できない
皮膚症状は退院時に比べ落ち着いているため、ミノサイクリンを一時中止し、悪心嘔吐の経過を確認することを提案

ミノサイクリン中止

ミノサイクリン中止3日後に悪心嘔吐改善
食事摂取量回復傾向


エルロチニブ通常量150mg/dで再開(d25)

エルロチニブ d31
エルロチニブ再開後悪心など発現しないため無事退院された


※※【】は薬剤師からのアプローチ

 分子標的薬剤による皮膚症状に対し、患者の生活仕様や退院後の希望をもとに基剤の選択やステロイド強度につき提案するなどの介入ができた。また悪心嘔吐のため入院してきた際は、原因薬剤としてミノサイクリンの消化器症状を疑い、結果的には有害反応の早期回復に寄与できたと考えられる。ただし、退院時指導の際、エルロチニブのほかミノサイクリンに起因する消化器症状にも留意し、悪心発現時はすみやかに連絡するよう十分な指導を行っていれば、症状が悪化する前の段階で対処できたかもしれないという反省点が残る。

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