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分子標的薬剤投与時の皮膚症状管理

2010/02/22
静岡県立静岡がんセンター 薬剤部 鈴木賢一

*皮膚障害に使用される薬剤

 エルロチニブの国内第II相臨床試験(JO16565試験・JO18396試験)では発疹の発現率は症状の軽いものから重篤なものまでを含めると、98.1%(106/108例)であった。また71.3%(77/108例)で皮膚乾燥が、69.4%(75/108例)でそう痒症が発現した結果から、発疹とともにそのほとんどが皮膚乾燥、そう痒症を合併していることがわかる。そのため保湿剤、抗アレルギー剤などを適切に使用することが、分子標的薬剤の皮膚症状マネジメントにつながるものと思われる。

表1 軟膏基剤の特徴(画像をクリックすると拡大します)

・皮膚乾燥が強ければ油脂性基剤を選択する、あるいは顔面に使用する場合にはべとつきを避けるためクリーム基剤を使用するなど、症状や部位により基剤の選択にも配慮が必要となる。

・ローション剤やクリーム剤は使用感がよい半面、基剤にアルコール等が含有されている場合があり、浸潤性病変や皮膚亀裂がある場合には刺激が強いため適さない。

・ローション剤は頭皮などに使用されることが多いが、塗布しやすいため使用量が多くなりやすい傾向にある。使用方法につき十分指導することが必要。

ステロイド外用剤の使用について
・エルロチニブ、セツキシマブなどに誘発されるにきび様皮疹は無菌性であるため、初期段階よりステロイド外用剤を用いた治療が中心となる4)5)

・皮膚外用剤の吸収の度合いは部位別に異なり、前腕内側を基準とした場合、頭皮3.5倍、頬13.0倍と大きくことなるため6)、顔面に使用する場合には1ランク弱いステロイドを使用する7)

・ステロイド外用剤を小範囲(手足・顔・胸などに数グラム/日程度)使用する場合は、局所作用(皮膚萎縮、酒さ様皮膚炎、毛細血管拡張、二次感染など)に注意を要する。しかし、局所作用は不可逆的なものは少なく、ステロイド外用剤の休止・変更などにより改善されることがほとんどである4)

・副作用を恐れるあまり、強力なステロイド外用剤の使用のタイミングが遅れてしまうことは、症状緩和までの期間が長期化することが懸念される。静岡がんセンターにおけるエルロチニブ内服患者28名を対象とした調査では、皮疹に対し16名においてmedium クラスのステロイド外用剤が処方されていたが、そのうち9名(56%)の患者では症状緩和までにステロイドの強度アップが必要であった(図2)。この結果から症状によっては初期から比較的強めのステロイド外用剤を用いた症状緩和につとめるべきと考えられる8)

図2 静岡がんセンターでの皮膚症状管理における外用ステロイド強度の変化

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