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癌の基礎知識
胃癌

2010/05/17
監修 大阪医科大学化学療法センター教授 瀧内比呂也氏

 JCOG8801試験の結果を受けて開始されたNational Surgical Adjuvant Study of Gastric Cancer(NSAS-GC試験)では、T2で N1またはN2のステージIIとIIIAの胃癌を対象とした手術単独群と術後にUFTを投与する群の比較で、UFTの有効性が示された。

 さらに漿膜浸潤陰性の胃癌に対し、JCOG9206-1試験では、手術単独群と術後にまず5-FU+シタラビン+マイトマイシンC、その後経口薬の5-FUによる化学療法を行う群を比較した。無再発生存期間、全生存期間ともに有意差が得られず、ネガティブなデータと解釈された。

 漿膜浸潤陽性の胃癌に対してはJCOG9206-02試験で、手術単独群とシスプラチンの腹腔内投与および5-FU+シスプラチンの静脈内投与に加え、UFTを投与する群を比較した。両群に全く差はなく、漿膜浸潤陽性の進行胃癌に対して、使いなれた古い薬剤による術後補助化学療法ではあまり効果が期待できないと結論された。

 TS-1が日本のステージII、IIIの胃癌の術後補助化学療法の標準治療となったのは、2007年に発表されたAdjuvant Chemotherapy Trial of TS-1 for Gastric Cancer(ACTS-GC試験)の結果からである。この試験では集積終了後1年目の中間解析でTS-1の優位性が明確となり、効果・安全性判定委員会の中止勧告により試験は中断された。その後の追跡調査で、手術単独群とTS-1による術後補助化学療法を行う群の3年生存率に10%の差が得られた(下図)。

(画像をクリックすると拡大します)

 ただし、ステージIIでは両群の差が大きいが、IIIBでは差が小さく、より進行した癌ではTS-1だけでは不十分な可能性もある。そのため、術前補助化学療法やより強力な術後補助化学療法に関する試験が進行中である。

 胃癌領域では、分子標的薬のトラスツズマブやエベロリムスなどを用いる試験や、標準的なレジメンがまだ確立されていないセカンドライン治療についての試験も進んでいる。日本では、手術の適応に関しては標準化されたと考えられるため、さらなる成績向上を目指すための化学療法の標準化が待たれる。

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