日経メディカルのロゴ画像

癌の基礎知識
食道癌

2010/04/19
(監修 愛知県がんセンター中央病院薬物療法部長 室圭氏)

 一方、欧米では術前化学療法を中心に治療法が発展してきた。手術単独群と術前化学療法または術前化学放射線療法を行う群を比較したフェーズ3試験の中には、有意差があるものとないものが混在し、議論の余地が残る。しかし、手術単独群と術前化学療法群を比較した試験をまとめたメタアナリシスでは、HR=0.90(95%信頼区間(CI)=0.8~1.0)となり、さらに手術単独群と術前化学放射線療法群の比較についてのメタアナリシスではHR=0.81(95%CI=0.70~0.93)となった。これらの結果も受けて、現在欧米では、術前化学療法または術前化学放射線療法が標準治療と考えられるようになっている。

●根治的な化学放射線療法の位置づけ

根治的な化学放射線療法については米国のRadiation Therapy Oncology Group(RTOG)のRTOG8501試験で、ステージI~IIIの食道癌を対象に、放射線療法単独群とFPを用いる化学放射線療法群を比較した(下図)。5年生存率は0%と27%で、有意に化学放射線療法群で良好だった(p<0.0001)ことから、手術療法以外の治療選択肢として化学放射線療法が推奨されることとなった。

(画像をクリックすると拡大します)

 その後行われた化学放射線療法における放射線照射の標準量(50.4Gy)と高用量(64.8Gy)の比較試験では、OSや局所制御率などにおいて高用量の優位性はみられなかった。この結果を受け、米国では50.4Gyの化学放射線療法が標準治療となっている。

日本の化学放射線療法については、ステージI~IIIの食道癌を対象として、単施設における手術療法と化学放射線療法のレトロスペクティブな解析データがある(下図)。生存率は、ステージIでは手術療法と化学放射線療法が拮抗し、ステージII、IIIではわずかに手術療法が上回った。すなわち、手術と化学放射線療法では、生存率において大きな差がない可能性が示唆された。

(画像をクリックすると拡大します)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この連載のバックナンバー

この記事を読んでいる人におすすめ