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癌の基礎知識
卵巣癌
─化学療法が効きやすい卵巣癌 腹水があっても末期とは言えず─

2009/07/06
(監修 国立がんセンター中央病院腫瘍内科医長 勝俣範之氏)

 通常は、まず徹底的な手術療法の後に抗癌剤治療を行う。先に抗癌剤治療を行い腫瘍を縮小させてから手術を行い、再び手術後に抗癌剤治療を行うこともある。III期、IV期では、化学療法のresponse rateは6割から8割程度となっている。そのなかで治癒するのは2割程度だ。残りの約8割は再発する。

 再発卵巣癌は、sensitive diseaseとresistant/refractory diseaseとに分類される。sensitiveというのは再発しても化学療法に感受性があり、化学療法が効く場合を指す。ただし、再発後、second、thirdと化学療法を行うなかで、最終的には化学療法が効きにくいresistant/refractory diseaseとなる。

 卵巣癌の手術の基本は、可能な限りの腫瘍減量術(debulking surgery)が標準的な治療法となっている。second look surgeryと呼ばれる2回目の手術は、過去に多く行われていたが、ランダム化比較試験(RCT)によって予後に有意差がないことが示された。また、後ろ向きの大規模な解析でも有意差が示されなかったため、現在では国際的に推奨されなくなっている。

 化学療法の途中(2~3コース後)に手術を行うinterval debulking surgeryに関しては、まだ結論が出ておらず、推奨・非推奨ともなっていない。また、他の癌で行われているリンパ節郭清に関しても、全生存期間を延長するというデータが示されておらず、推奨・非推奨の結論が出ていない。術前化学療法に関しては、現在進行中の臨床試験があり、この結論が待たれている段階だ。

●化学療法

 初回の化学療法(primary chemotherapy)としては、IIb期からIV期に対する現在の標準的な治療法は、パクリタキセル(175mg/m2)とカルボプラチンの併用となっている。これは、国際コンセンサス会議で合意されたもの。ただし、米国の一部の施設がカルボプラチンの用量として血中濃度曲線下面積(AUC)=7.5を主張したため、カルボプラチンのAUCには5~7.5と幅のある推奨となっている。

 手術で腫瘍を取りきることができた(optimal stage)のIII期に対しては、シスプラチンの腹腔内投与とパクリタキセルの併用も標準治療として認められている。

 ただし、これらの標準的な治療法が副作用の問題などから難しい場合には、パクリタキセル135mg/m2の24時間投与とシスプラチン(75mg/m2)の併用や、ドセタキセル(75mg/m2)とカルボプラチン(AUC=5)の併用、カルボプラチン(AUC=5~6)単独、シクロホスファミド+ドキソルビシン+シスプラチンの併用療法(CAP)が選択肢となる。

 卵巣癌の化学療法の歴史では、80年代までCAP療法が多く行われていた。その後、パクリタキセル、ドセタキセル、シスプラチン、カルボプラチンが登場し、現在の標準治療はパクリタキセルとカルボプラチンの併用となっている。

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 最近の臨床試験としては、米国で行われたGOG0182-ICON5試験がある。この試験では、標準治療であるパクリタキセル+カルボプラチン群と、パクリタキセル+カルボプラチンにゲムシタビンを追加した群、パクリタキセル+カルボプラチンにドキシルを追加した群など5群を比較している(上図参照)。ただし、この5群で有意差は確認されなかった(下図参照)。

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 結論に至っていない課題として、パクリタキセル+カルボプラチンの6コースを標準治療として行い、CR/PRが得られた後に追加の化学療法を行うか否かという問題がある。追加の化学療法のやり方としては、初回と同じ薬剤を用いるmaintenanceもしくは、初回と異なる薬剤を用いるconsolidationが検討されている。ただし、これまでに行われた主な臨床試験6つのうち、有意差が示されたのは1つのみだ。そのため、maintenance、consolidationとも、現在までのところ標準治療としては推奨されていない。

 その一方で、腹腔内投与(IP)は、近年、静注に比べた有意差が3つの臨床試験で示された。メタ解析の結果でもIPの有用性が示されている(下図参照)。そのため、米国癌研究所(NCI)が、卵巣癌の初回治療において、IP療法は標準的な治療法の1つとするAlertを出したほどだ。

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