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癌の基礎知識
肺癌
-非小細胞肺癌の化学療法を中心に-

2009/04/27
監修 国立がんセンター東病院呼吸器内科医長 久保田馨氏

 我が国で行われた、シスプラチン(CDDP)と第2世代抗癌剤の併用と、CDDPと第3世代抗癌剤の併用を比較した試験によると、CDDP+ビンデシン(VDS)とCDDP+CPT11では優位性は示されなかった。ただし、IV期だけを解析するとCDDP+CPT11が、CDDP+VDSよりも良好であった。一方、CDDP+VDSとCDDP+DOCの比較では、奏効率、生存率共にDOC併用群が有意に良好な結果であった。

 また、第2世代レジメンと第3世代レジメンとの比較試験のメタ解析の結果からは、第2世代レジメンに比較し、第3世代レジメンによる生存期間延長が示されている。合計2425例が参加した8試験のメタ解析では、奏効率の”リスク”は46%(p=0.001)向上し、1年の死亡リスクは19%減少(p=0.012)した(Yana et al, Proc ASCO 2002, abstr 1309)。もう一つのメタ解析では、合計3296例が参加した8試験が解析され、奏効率は13%(p<0.001)、1年生存割合は4%(p=0.04)向上した(Baggstrom et al, Proc ASCO 2002,abstr 1222)。

 薬剤の併用については、単剤と2剤併用、2剤併用と3剤併用の奏効率、1年生存割合などを比較した研究がある。その結果、奏効率は単剤よりも2剤併用が良く、生存期間も良好という結果が出ている。しかし、2剤併用に比べて3剤併用では奏効率は上昇するが生存期間は変わらないことが示されたため、現在は2剤併用療法が標準治療となっている。

 第3世代+プラチナ製剤同士の比較試験では大きな差がないという結果が複数の臨床試験で示されている。ただし、毒性は併用薬によって差がある。例えば、CDDP+PTXをコントロールにしてCDDP+GEM、CDDP+DOC、CBDCA+PTXを比較したECOG1594試験では、CDDP+GEMおよびCBDCA+PTXの併用で以下の毒性の低下が見られた。(下表)

(画像をクリックすると図表を拡大して表示します)

 一方、日本で行われたFACS試験は、ステージIIIB/IV期を対象に、CDDP+CPT11(IP)をコントロールとしてカルボプラチン(CBDCA)+PTX(TC)、CDDP+GEM(GP)、CDDP+VNR(NP)を比較したもの。生存期間中央値(MST)はIPが13.9カ月、TCが12.3カ月、GPが14.0カ月、NPが11.4カ月。1年生存率は、IPで59%、TCで51%、GPで60%、NPで48%。無増悪生存期間(TTP)はIPで4.7カ月、TCで4.5カ月、GPで4.0カ月、NPで4.1カ月であった。

 ECOG試験ではTC療法で血液毒性、発熱性好中球減少が少なかったが、日本の試験では、GP療法において発熱性好中球減少が少ないという結果であった。ただし、GP療法では、血小板減少が多く、貧血に関してはTC療法が少なかった。一方、非血液毒性では、TC療法において、ニューロパシーが多くみられた(下図参照)。

(画像をクリックすると図表を拡大して表示します)

 我が国で行われたカルボプラチン+パクリタキセル併用の臨床試験の結果を、海外の結果と比べると、好中球減少や発熱性好中球減少が日本で強く出ている。また、MSTが長いという特徴もある。血液毒性が強い理由の一つは血清クレアチニンの計測方法が日本では酵素法、米国ではJaffe法が多く、そのため0.2くらい日本のほうが低く出るので、Calvertの式でカルボプラチンを計算すると、実際の投与量が日本では多くなり、このような結果になるのではないかと考察されている。

 期待の大きい分子標的薬については、カルボプラチン+パクリタキセルにベバシズマブ追加の効果をみたECOG4599試験で、ベバシズマブ追加によって生存期間が有意に延長することが示された。(下図参照)

(画像をクリックすると図表を拡大して表示します)

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