
同病院副院長で、自身、6例の手術を経験した桑原勝孝氏は「すぐに採算を取るつもりはない」と語る。長久保病院は泌尿器科の専門病院で、泌尿器にかかわる手術の多くを手がけてきた実績があり、開放による前立腺全摘除術も行っていた。同院がダヴィンチに注目した理由は安全性と有効性だと桑原氏は説明する。「すでに米国では前立腺全摘除術の80%はロボットを使って行われている。東京医大や海外からの報告に接して、前立腺全摘除術はロボットが主流になると確信した」という。院長の長久保一朗氏が、東京医大教授の橘政昭氏と同じ慶應義塾大学の卒業生で以前から面識があったことも、導入へ踏み切る一因となった。

採算性に加えダヴィンチ導入時に問題となるのが術者のトレーニング。現在、製造元の米国Intuitive Surgical社は、操縦する医師に米国内での実地研修を義務付けている。長久保病院の医師4人も、渡米してトレーニングを受けた。