医師:体調はいかがですか
患者:なにしろ体が動きません
医師:(家族に)いかがですか
家族:もともと元気だった母が家事も出来なくなり困っています
本人の訴えは、めまい、ふらつきなど身体症状が主であったが、問診により抑うつ気分、興味・意欲の低下、睡眠障害、食欲低下、精神運動抑制、全身倦怠感が2週間以上継続し、うつ病の診断基準(表1)を満たしており、うつ病と診断した。
本人と家族対し、様々な身体症状があるが、精神科診断としてはうつ病であり、抗うつ薬の服用および安静が必要と説明した。また、中断しているホルモン療法は、うつ病の回復後に再考するのが良いと伝えた。
薬物療法としては四環系の抗うつ薬であるミアンセリン20㎎を眠前に投与した。

【治療経過】(図1)

<1週後>
医師:いかがですか
患者:眠れるようになりました
抗うつ薬投与による副作用もみられないためミアンセリン30㎎に増量。
<2週後>
患者:よく眠れます。めまい、ふらつきも楽になりました
副作用も認められないのでミアンセリン40mgに増量。
<3週後>
医師:いかがですか
患者:食欲が出てきました
医師:だるさはどうですか
患者:楽になっています。先生、もう一度ホルモン療法を試してみたいと思います
医師:精神科としては大丈夫ですよ
患者:それでは(担当医の)先生と相談します
<4週後>
医師:どうなりました?
患者:治療を再開しました
医師:めまい、ふらつきは出ます?
患者:出ません。最近は以前より元気になったといわれます
医師:よかったですね
この時点でうつ病は寛解と判断した。以後、うつ病が再発することはなかった。