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東京都医師会がCOVID-19の現状に見解
「新型コロナ専門病院」を都立か公社が担ってほしい

東京都医師会副会長の猪口正孝氏は、「COVID-19専門病院」を設置する必要性を強調した。

 東京都の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染確認数は、7月9日以降4日連続で200人を上回った。10日に東京都医師会が開いた会見で、副会長の猪口正孝氏は、第2波に向けての都内医療提供体制として「COVID-19専門病院」を設置する必要性を強調し、都立病院、あるいは東京都保健医療公社の病院がその役割を担うべきとする考えを示した。

 猪口氏によると、現在の東京都の感染状況は20~30歳代の軽症者が大多数で、重症化リスクの高い中高年層にも感染が広がっていた第1波と比較して、医療提供体制のひっ迫は見られていないという。また、PCR検査数についても感染流行当初は1日当たりの検査数が300件程度だったが、現在では3000件程度まで拡大し、軽症者でも早期に発見できるようになった。今後増加が見込まれる軽症者に備え、宿泊療養を強化する必要があるとした。

 一方で、徐々に中高年層への感染拡大が見られることから、猪口氏は「食い止められなければ中等症・重症の患者が当然増えてくる」と懸念を示し、COVID-19専門病院の必要性を主張した。大学病院や感染症指定医療機関など各病院にCOVID-19患者の受け入れ病床が分散する現状では患者と病院とのマッチングに時間がかかるが、専門病院が患者をいったん受け入れ、病態に応じて他院に転送する「バッファ」的機能を担わせることで、スムーズな患者の振り分けが可能になるとした(図1)。

図1 COVID-19診療体制のイメージ(都医師会会見資料より)

 病院経営の観点からも、専門病院の有効性を期待する。第1波以降世間では「病院に行くと感染する」などといった受診控えが見られたが、分散型から専門病院モデルに切り替えて、COVID-19診療機能の区分を明らかにすることで避けることができるとした。また、これまではCOVID-19患者を受け入れた病院ほど経営悪化が見られたため、猪口氏は「民間病院が経営の危機に追い込まれながら診療を続けている。こういうときにこそ都立、公社には頑張ってもらいたい」と述べ、都立病院と公社に中心的な役割を担うことを求めた。
 
 東京都は「新型コロナウイルス感染症を乗り越えるためのロードマップ」(5月22日)で、感染拡大の状況に応じて段階的に病床を確保する方針を示しており、「レベル1」で1000床、「2」で3000床、「3」で4000床を用意すると定めている。猪口氏はレベル3に備えて、都立8病院、公社6病院に対し「2000床くらいを専門病院(病棟)としてもらいたい。500床規模の病院だったら4病院。それくらいやってもらえるとかなりの力になる」と話した。

 会長の尾﨑治夫氏は、新宿歌舞伎町など繁華街一帯の陽性者数が多い現状について指摘し「歌舞伎町や池袋など震源地対策と、市中感染をどのように防ぐかが大きなポイントだ」と述べた。そのうえで地域などを限定した補償を伴う休業要請と、徹底的なPCR検査の必要性を訴え、国の対策を求めた。市民に対しては「マスクを外した状態での密接な状態が一番危険だ。2週間、できれば4週間は飲食店での飲み会など避けてもらいたい」と呼びかけた。

感染発生の介護施設に応援職員を派遣

 副会長の平川博之氏は、介護・福祉事業者への支援策について説明した。都医師会は都内の介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、認知症高齢者グループホーム、有料老人ホームの各団体の代表と、「新型コロナ感染症対策医療介護福祉サービス連携連絡会」を組織し、感染発生や衛生資材供給の状況把握、対応フロー図やチェックリスト作成などの支援を行ってきた。

 平川氏は介護事業者への新たな支援策として、「応援職員派遣」事業を紹介。施設内にCOVID-19陽性者が発生した場合に他施設からの職員派遣をマッチングするコーディネーターをサービス種別に配置する構想を明らかにした。図2に示すように、現時点では介護老人保健施設について実施が固まっており、特養、グループホーム、有老ホームでも検討が進んでいる。

図2 介護施設への応援職員派遣のシステム(都医師会会見資料より)

 政府の2020年度第2次補正予算では「緊急時の応援に係るコーディネート機能の確保等」として都道府県に900万円を支援するとしている。もっとも、応援職員の派遣に当たって課題となるのは、派遣先までの交通費、COVID-19感染補償の保険料、帰宅できなくなることを見越しての宿泊料などの費用とみられる。都医師会はこれらの費用の負担を東京都に求めていく方針だ。

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