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トピック◎藤田医大、暫定的な解析結果を公表
アビガン早期投与、新型ウイルス消失率で有意差至らず

 藤田医科大学は7月10日、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染した無症状や軽症患者を対象に行ったファビピラビル(商品名アビガン)の臨床研究について暫定的な解析結果を公表した。陽性確定時点からの早期投与を行っても、主要評価項目である治療6日目までの累積ウイルス消失率に有意差は出ず、副次評価項目や探索的評価項目でも統計的な有意差には至らなかった。

 研究は、RT-PCRによってSARS-CoV-2の感染が確認された無症状または軽症患者を対象に、アビガンを10日間経口投与し、その有効性、安全性を検討することを目的に実施された。3月上旬から5月中旬までの間に、SARS-CoV-2陽性患者計89人が参加。1日目から10日目までアビガンを1日目1回1800mgを2回、2日目以降1回800mgを2回内服する通常投与群(44人)と、6日目から15日目までアビガンを1日目1回1800mgを2回、2日目以降1回800mgを2回内服する遅延群(45人)に無作為に割り付けられた。

 割り付け直後に不参加を表明した1人と、研究参加時に既にウイルスが消失していたことが後に判明した19人を除き、通常投与群(36人)と遅延投与群(33人)で比較検討された。研究期間中に重症化した例や死亡例はなかった。

 解析の結果、有効性を見るための主要評価項目である「治療6日目まで(遅延投与群が内服を開始するまで)のSARS-CoV-2消失率」は、通常投与群が66.7%、治療が始まっていない遅延投与群が56.1%だった。調整後ハザード比は1.42(95%信頼区間:0.76-2.62、P=0.269)で、統計的には有意差がなかった(表1)。

表1 6日目まで(遅延投与群が内服を開始するまで)の累積ウイルス消失率

 副次評価項目は、11日目までのSARS-CoV-2消失率、SARS-CoV-2ゲノム量対数値における50%減少達成率、SARS-CoV-2ゲノム量対数値推移の3つ。今回発表されたのは、「6日目までのウイルス量対数値50%減少割合」のみだった。結果は、通常投与群が94.4%、遅延投与群が78.8%で、調整後オッズ比は4.75(95%信頼区間:0.88-25.76、P=0.071)だった。

 また、探索的評価項目である「37.5℃未満への解熱までの平均時間」については、通常投与群が2.1日、遅延投与群が3.2日で、調整後ハザード比は1.88(95%信頼区間:0.81-4.35、P=0.141)だった。

 一方、安全性の面では、アビガンに関連する有害事象は、血中尿酸値上昇が84.1%、血中トリグリセリド値上昇が11.0%、肝ALT上昇が8.5%、肝AST上昇が4.9%に見られた。なお、こうした異常値は、内服終了後(16日目または28日目)に再度採血した患者(38人)のほぼ全員で平常値まで回復していた。また、痛風を発症した患者はいなかった。

 こうした結果から藤田医大は、「通常投与群では遅延投与群に比べて6日までにウイルスの消失や解熱に至りやすい傾向が見られたが統計的有意差には達しなかった」と結論。有害事象は、アビガン投与中の患者の大半に検査値異常の尿酸値上昇が見られたが、投与終了後には平常値まで回復し、その他重篤な有害事象は見られなかった、とまとめている。

 藤田医大としては、今回の研究の詳細なデータを速やかに論文発表できるよう準備を進めていくとしている。

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