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NEJM誌から
COVID-19の呼吸不全リスクと血液型に関連
全ゲノム関連解析でA型患者は呼吸不全リスクが高いことを示唆

 The Severe Covid-19 GWAS Group研究に参加しているドイツChristian-Albrechts-UniversityのDavid Ellinghaus氏らは、どんな遺伝要因を持つ人がCOVID-19で呼吸不全を起こしやすいかを調べるために、イタリアとスペインの重症患者と健康な対照群の全ゲノム関連解析を行い、遺伝的多型(SNPs)を比較した。その結果、染色体上の2領域に呼吸不全に関係する多型を突き止め、その1つがABO式血液型の遺伝子座で、血液型により呼吸不全のリスクが異なることが示唆されたと報告した。詳細はNEJM誌電子版に2020年6月17日に掲載された。

 著者らは、欧州のSARS-CoV-2感染の中心地となっていたイタリアとスペインの4都市の7病院で、パンデミックがピークを迎えた時期にCOVID-19を発症し呼吸不全(入院中に酸素療法、または機械的換気を必要とした)を起こしたSARS-CoV-2確定例を対象に全ゲノム関連解析を行うことにした。また、イタリアとスペインで健康な血液提供者を募集して、遺伝子のどの部位の違いが呼吸不全と関連しているかを探ることにした。

 データの品質管理と外れ値の除外を行ったのちに、イタリアのCOVID-19患者835人と対照群1255人、スペインのCOVID-19患者775人と対照群950人を最終的な分析対象とした。対照群には、SARS-CoV-2に感染したが軽症だった人や、無症候だった患者が一部に含まれていた。イタリアのコホートでは896万5091個のSNPsの多型について分析し、スペインのコホートでは914万716個の多型を解析した。

 イタリアとスペインのデータを統合してメタアナリシスを行い、呼吸不全患者と対照群の間に有意差が見られたのは、染色体の3p21.31の位置に存在するrs11385942と、9q34.2に位置するrs657152だった。rs11385942がGAアレルの人のオッズ比は1.77(95%信頼区間1.48-2.11)、rs657152がAアレルの人のオッズ比は1.32(1.20-1.47)だった。

 3p21.31領域の重症化との関係が見られたのSNPsは、6個の遺伝子(SLC6A20、LZTFL1、CCR9、FYCO1、CXCR6、XCR1)に影響すると考えられた。rs11385942でGAアレルを持つ人は、ケモカイン受容体をコードするCXCR6の発現減少と、ACE2と相互作用するSIT1をコードするSLC6A20のなどの発現が増加しており、酸素補給のみよりも機械的換気を受けるリスクが高かった(オッズ比1.70:1.27-2.26)。

 9q34.2は、ABO血液型を決める遺伝子が局在する領域と一致していた。年齢と性別を補正して血液型による呼吸不全リスクを検討したところ、A型の人は他の血液型の人より有意にリスクが高かった(オッズ比1.45:1.20-1.75)。一方でO型の人の呼吸不全リスクは、他の血液型の人より有意に低かった(オッズ比0.65:0.53-0.79)。機械的換気を受けた患者の割合には、血液型による差は見られなかった。

 なお、6番染色体のHLAを規定する領域には、呼吸不全リスクに関連するSNPsは見つからなかった。

 これらの結果から著者らは、3p21.31領域の遺伝子クラスターが呼吸不全の遺伝的要因に関係しており、ABO式血液型も呼吸不全リスクに関係していたと結論している。この研究はStein Erik Hagenなどの支援を受けている。

 原題は「Genomewide Association Study of Severe Covid-19 with Respiratory Failure」、概要はNEJM誌のウェブサイトで閲覧できる。

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