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NEWS◎唾液による新型コロナウイルス抗原検査試薬が承認
唾液での抗原検査が可能に、発症9日以内が対象
30分で判定可も、専用装置が必要

 厚生労働省は6月19日、唾液を検体として新型コロナウイルスSARS-CoV-2)抗原を測定する抗原検査試薬「ルミパルス SARS-CoV-2 Ag」(写真1)を承認した。近く保険収載され、6月22日にも発売される見通し。鼻咽頭ぬぐい液だけでなく、唾液を検体として使用できる抗原検査試薬は国内初となる。唾液抗原検査の対象者は唾液PCR検査と同様、発症9日以内の有症状者。同試薬は30分で陽性・陰性を判定できるが、既に発売されている迅速検査キットとは異なり、専用の検査装置を必要とする。

写真1 抗原検査試薬「ルミパルス SARS-CoV-2 Ag」(提供:富士レビオ)

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の抗原検査としては、富士レビオが開発した「エスプライン SARS-CoV-2」が5月13日に承認・保険収載された(関連記事)。この迅速検査キットは鼻咽頭ぬぐい液を検体とし、30分で陽性・陰性を判定できる。抗原検査はPCR検査と比較して感度が低く、一定数の偽陰性を生じる可能性があることから、当初は陽性の場合のみ確定診断が可能とされていたが、6月16日には、発症から2~9日目の症例では陰性の判定にも使用でき、追加でのPCR検査を必須としない方針が示された(関連記事)。

 ただし、鼻咽頭ぬぐい液の採取に当たっては、鼻咽頭の奥に綿棒を差し込む際にくしゃみやせきを誘発してしまう場合があり、医療従事者が感染リスクにさらされる。このため検体採取時には、サージカルマスクと手袋に加え、ゴーグルやフェイスシールドといった眼の防護具、長袖ガウンを装着する必要がある。同様に当初、鼻咽頭ぬぐい液のみを検体としていたPCR検査は、発症から9日以内の有症状者に対して、唾液も検体として使用できるとする通知が6月2日に厚労省から発出された(関連記事)。

 このほど承認された抗原検査試薬「ルミパルス SARS-CoV-2 Ag」は、迅速検査キットと同じく富士レビオが開発。同社の全自動化学発光酵素免疫測定システム「ルミパルス G1200」(写真2)または「ルミパルス G600II」で使用する専用試薬で、唾液または鼻咽頭ぬぐい液を検体として用いる。迅速検査キットと同様に約30分で陽性・陰性を判定でき、「ルミパルス G1200」を使用する場合、1時間当たり120検体を処理できる。富士レビオを子会社とするみらかホールディングスによると、同試薬を使用できる検査装置は国内に約800台あり、6月22日からはみらかグループの大手検査会社SRLが唾液抗原検査の受託を開始する予定。

写真2 唾液による抗原検査が可能となる全自動化学発光酵素免疫測定システム「ルミパルス G1200」(提供:富士レビオ)

 唾液を検体とする抗原検査の対象者は、発熱などの症状発症から9日以内の患者で、陽性・陰性の場合ともに確定診断が可能。無症状者や、発症後10日以降の患者に対する唾液抗原検査は推奨しない。

 唾液PCR検査が可能となった際に国立感染症研究所が改定した「2019-nCoV(新型コロナウイルス)感染を疑う患者の検体採取・輸送マニュアル」および「新型コロナウイルス感染症に対する感染管理」では、唾液検体の採取時は、滅菌容器に1~2mL程度の唾液を患者に自己採取させるとしており、唾液1~2mLの採取に要する時間の目安は5~10分としている。検体採取を行う医療従事者は、サージカルマスクと手袋を装着すればよい。従来は鼻咽頭ぬぐい液のみが検体として使用できた抗原検査において、厳重な感染防御を必要とせず採取できる唾液検体を使用できるようになることで、感染防護具や人材を確保する負担の軽減が期待される。

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