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東京都医師会がCOVID-19第2波への備えを訴える
COVID-19中等症を受け入れる専門病院が必要

 東京都医師会は6月10日に記者会見を行い、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行の第2波に対応するための医療提供体制の検討課題と、都民に対して流行が小康状態のうちに行っておくべき備えを説明した。

東京都医師会会長の尾﨑治夫氏は「第2波が来る前に、COVID-19以外の疾患への備えを行っていただきたい」と語った。

 東京都医師会会長の尾﨑治夫氏は会見の冒頭、COVID-19の第2波が今秋から今冬にかけてインフルエンザ流行とともに襲来する懸念を示した。そして、「第2波が来る前に、COVID-19以外の疾患への備えを行っていただきたい」と語り、健康診断や予防接種を受けておくことを訴えた。特に高齢者についてはインフルエンザとともに肺炎球菌のワクチン、小児についても、「COVID-19が小康状態の今、予防接種の時間帯を設ける医療機関は増えているので、ぜひ利用し、いろいろ相談してほしい」と訴えた。

 COVID-19第2波に備えるためのポイントとして、この日の会見で説明したのは、(1)検査体制、(2)外来医療体制、(3)入院医療体制、(4)宿泊療養(自宅療養)体制、(5)都民への情報提供・啓発活動、(6)日本医師会・国への要望、(7)その先の感染症対策──の7項目。

 検査体制については、地区医師会と連携して運営するPCRセンターが5月末時点で都内に36カ所が開設されており、6月も新しいセンターが増える予定だ。さらに、「検査結果を迅速に集約して把握する体制が必要」と副会長の角田徹氏は強調した。

表1 COVID-19第2波に備えるためのポイント(検査体制)

1)PCRセンター:都内どこに住んでいても必要な際は確実に迅速に検査を受けられる体制
2)救急外来での抗原検査、PCR検査:救急搬送や要入院の際の適確な振り分け
3)抗体検査:既感染の探知、疫学的調査による対策の効率化
4)検査結果の迅速な一元的集約

出典:東京都医師会2020年6月10日会見資料

表2 COVID-19第2波に備えるためのポイント(外来医療体制)

1)かかりつけ医:電話対応・外来診療によるトリアージ体制の拡充
2)PCR センター・入院医療機関へのスムーズな紹介・連携
3)地域医師会:発熱者等に対する地域での診療体制の確立
4)感染予防:手技の標準化、感染防護機材の安定的な確保
5)搬送体制:迅速・確実な搬送手段

出典:東京都医師会2020年6月10日会見資料

 COVID-19の入院医療体制については、都医師会が以前から必要性を訴えているCOVID-19中等症専門病院について、「ぜひ検討を進めてほしい」と副会長の猪口正孝氏が強調。「重症患者に対応する感染症指定病院などの負担を軽減するためにも、中等症を引き受ける専門施設が必要」と説明した。

 今春の流行では、発熱患者の救急搬送に時間がかかるという問題が深刻化した。「今は落ち着いているが、感染者が今後増えたときに同じ状況にならないように救急体制をつくる必要がある」と猪口氏。「特に二次救急病院でPCR検査を行える体制が非常に大事」(猪口氏)で、都医師会などが代表となって契約する集合契約を進め、二次救急病院においてPCR検査を行政検査として行える体制を検討していることを明らかにした。

 猪口氏はさらに、高齢者などがCOVID-19で入院した際に心身機能が衰えて在宅復帰が困難になるという課題も挙げた。そのため、ケアミックスの医療機関に対しても、軽症~中等症のCOVID-19患者を受け入れてもらい、回復期リハビリテーションまで一貫して担ってもらうよう働きかけているという。

表3 COVID-19第2波に備えるためのポイント(入院医療体制)

1)COVID-19専門病院の指定:地理的・人口分布に応じた専門病院の設立
2)重症・重篤者への対応: ECMO等の機材・専門スタッフの確保、集約的・効率的な運用
3)疑似症患者の入院体制確保
4)回復後の継続的な入院医療の確保(回復期リハビリ等)
5)転院搬送の体制、調整本部の強化
6)院内感染対策:十分な医療機材・人員の確保と教育
7)平時からの病院機能への十分な医療資源の投入
8)高齢者・障害者施設など重症化の高い施設への対応、精神疾患・認知症等の入院先等の確保

出典:東京都医師会2020年6月10日会見資料

 6月10日時点で、東京都の新規感染者は入院あるいは宿泊療養で対応しており、自宅療養はほぼいないという。宿泊療養を始めた当初は、陽性と判明した直後の感染者が宿泊するホテルと、退院後の経過観察期間に宿泊するホテルを分けていた。今後は両者を1つのホテルで経過観察していく方針で、宿泊療養のルールづくりとともに、柔軟な対応も東京都と検討していく。

表4 COVID-19第2波に備えるためのポイント(宿泊療養、自宅療養の体制)

1)宿泊施設(ホテル)療養の充実
2)医療的ケア・メンタルケア体制の確立
3)退所時までのマニュアル化・退所後のフォローアップ体制の強化
4)やむを得ない自宅療養に対する保健所とかかりつけ医等との連携
5)重症化早期探知システム
6)重症化予防のための薬剤投与

出典:東京都医師会2020年6月10日会見資料

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新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

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