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NEWS◎COVID-19流行期に特化した診療指針作り進む
日循、「新型コロナ流行期の提言」を改訂
全国一律ではなく、地域の流行度や医療資源の状況を踏まえたものに

 日本循環器学会は6月10日、「COVID-19流行期における循環器医療体制維持に関する提言(2020年6月改訂版)」を発表した。初版が発表されたのは全国に緊急事態宣言が出されていた4月26日(関連記事)。その後、大規模な流行の収束に伴って感染拡大状況の地域差が拡大、全国一律の提言が現状に適合せず、改訂が必要と判断された。

 改訂版では、(1)循環器疾患の病態による診療の優先度、(2)COVID-19の流行度、(3)医療資源の充足度、(4)患者のCOVID-19の有無──という4つの要素に基づき治療方針を決定するとした。この中で(1)~(3)の要素を踏まえた方針を図示したものが図1だ。

図1 病態の優先度、COVID-19流行度、医療資源の充足度による循環器診療の方針

 循環器疾患の病態から診療の優先度が高いと判断された場合は、標準予防策を講じた上で、十分な注意をはらい診療に当たる。感染拡大地域ではエアロゾル対策も行う。優先度は高・中・低の3段階に分けられたが、具体的な分類については、関係学会の提言や各疾患のガイドラインの推奨度を参考に、各施設で担当医が判断するとした。

 COVID-19の流行度については、国が定めた流行度の目安や、地域や施設での流行状況、行政の施策などを参考にして判断する。流行の拡大を認める場合は、診療優先度が中~低度のものは延期を考慮する。特に医療資源が十分に確保できない場合は、原則延期とする。しかし、流行の拡大を認めても緊急症例など診療優先度が高い場合は、最大限の注意をはらった上で実施する。

 医療資源の充実度については、マンパワー、医療器具、個人防御具、COVID-19対応病床数などから判断する。常に最新の状況を把握し、急速な流行の拡大による医療資源消費の可能性を念頭に置くことを求めた。医療資源の確保が十分ではない場合は、診療優先度が中~低度の場合は診療の延期を考慮する。

 一方、患者が新型コロナウイルスに感染しているかその疑いがある場合は、循環器疾患の病態や診療を延期した場合の医学的危険性、その時点で投入可能な医療資源、院内感染のリスクなどを総合的に判断し、実施の有無を決定する。実施する場合は全ての者が十分な感染予防を行い、最大限の注意をはらって行う。感染が不明な場合で緊急の循環器疾患診療が必要な場合は、診療に当たる全ての医療従事者がエアロゾル対策も含めた十分な標準予防策を講じる。

 緊急診療や外来検査、入院管理における、感染予防に最大限の注意が必要な場合の具体策について、以下の4点を挙げた。

・COVID-19陽性・疑い患者、または流行拡大地域でその感染の有無が不明な場合の緊急診療に関しては、可能な限りCOVID-19陽性患者専用の個室、検査室(カテーテル室など)を使用する。また可能な限り陰圧室を使用する。
・検査や治療に立ち会う医師・メディカルスタッフは、業種ごとに必要最低限人数とする。
・検査や治療に立ち会う全ての医師やメディカルスタッフは標準予防策の習得・実施に加え、エアロゾル対策が必要な場合はこの対策を行う。
・患者はサージカルマスクを着用する。

 本提言は循環器診療における「原則」を示したもので、最終的な判断は各施設ならびに担当医の判断に委ねられるとしている。また、日本循環器学会は本提言について、今後も定期的に内容を評価して改訂を行う方針という。

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シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

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