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NEJM誌から
SARS-CoV-2はネコからネコへ感染する
ネコの多くは無症候性の感染か?

 SARS-CoV-2がヒトからネコ科の動物に感染するという報告があり、ネコ同士で感染が起こることも示唆されていた。米国Wisconsin大学Madison校のPeter J. Halfmann氏らは、6匹の家ネコを対象とする感染実験を行い、接触したネコ間でウイルスの感染が起こったが、6匹とも症状は発症しなかったと報告した。東京大学医科学研究所、国立国際医療研究センター、国立感染症研究所とWisconsin大学が共同で行った実験の結果は、NEJM誌電子版に2020年5月13日に掲載された。

 著者らは、day 0に家ネコ3匹の鼻腔内にSARS-CoV-2を植え付けた。翌日(day 1)、3匹のネコのそれぞれをウイルスに感染していないネコ1匹と同居させ、ネコ-ネコ間の感染が起こるかどうかを検討した。3組6匹のネコから鼻スワブと直腸スワブを毎日採取し、TMPRSS2発現VeroE6細胞株を用いて、感染性を有するウイルスの存在を調べた。

 Day 1にはウイルスを植え付けた3匹のうちの2匹からウイルスが見つかった。Day 3には3匹全てがウイルス陽性になり、day 5までその状態が続いた。Day 6になると、1匹が陰性になっていたが、のこりの2匹からはウイルスが検出された。

 Day 3の時点で、同居ネコ3匹のうち1匹に由来する鼻スワブからウイルスが検出された。Day 5にはもう1匹から、day 6には3匹全てからウイルスが見つかった。どの個体でも、最初に検出された日から4-5日間、ウイルスが排出された。直腸からウイルスが検出された個体はなかった。

 これまでの報告では、症状が見られたネコがいたそうだが、今回実験に用いたネコはいずれも発症しなかった。どのネコにも、発熱、体重減少、結膜炎は見られなかった。

 6匹のネコの抗SARS-CoV-2 IgG抗体の抗体価は、ウイルス植え付け時点から24日目には、1:5120から1:2万480の範囲になっていた。

 この実験でネコは発症することなく、周囲のネコとヒトにSARS-CoV-2を感染させる可能性があることを示した。ヒトから、家ネコや動物園のトラ、ライオンへの感染が報告されていること、そしてネコ間での感染が容易に生じることを示すデータが得られたことから、ヒトからネコ、ネコからヒトへの感染の可能性に注意し、感染を予防することが大切と考えられた。

 原題は「Transmission of SARS-CoV-2 in Domestic Cats」、概要はNEJM誌のウェブサイトで閲覧できる。

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