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トピック◎全国医師ユニオンが緊急調査
N95マスク、ボロボロになるまで使い回しの声も
PPE供給、感染防御体制の強化、危険手当の支給を

緊急シンポジウム「COVID-19と闘う医療現場の実状」で基調講演を行う全国医師ユニオン代表の植山直人氏

 「N95マスクの使い回しをしている」が30.8%と多く、中にはボロボロになるまで使っているとの声もあった──。全国医師ユニオンが5月16日に発表した緊急調査の結果から、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査や治療に従事する医師が十分な装備のないまま診療に当たっている現状が明らかになった。回答した172人の94%が感染防護具(PPE)の十分な供給を求め、60%以上が感染防護体制の強化や危険手当の支給を望んでいた(複数回答)。

 調査は4月24日から5月6日まで、ウェブ方式で実施した。回答者は172人。年齢は20歳代12.2%、30歳代24.4%、40歳代24.5%、50歳代26.7%、60歳代9.9%、70歳代2.3%で、男性68.0%、女性32.0%だった。一般内科が36.0%と多く、呼吸器科をはじめとする各専門内科を含めると60%以上が内科系だった。小児科が7.5%、救急科が5.8%で、初期研修医も7.0%と少なくなかった。

「既に院内感染が起きている」が4.1%

 COVID-19に対する医療機関の対応状況は、「外来でCOVID-19疑い例の患者に対応している」が80.8%で最も多く、「可能性のある患者を受け入れている」が50.0%、「診断を受けた紹介患者を受け入れている」が42.4%だった(複数回答)。「入院患者から感染者が出て対応している」も15.1%あった。

 COVID-19診療への参加意志は、「志願して」が23.8%で、「業務命令」が76.2%と大半だった。業務命令のうち、69.4%は「不満はない」と回答したが、残りの30.6%は「可能であれば参加したくない」と考えていた。

 医療安全の面では、N95マスクが「十分に確保されている」は14.5%にとどまり、「十分でない」が54.1%で、「使い回しをしている」が30.8%と続いた。使い回しに関しては、自由記載として「ボロボロになるまで」「無期限に」「1カ月ほど」などの声が寄せられており、調査を行った全国医師ユニオンは「感染防護の常識からかけ離れた悲痛な実状が記されている」と指摘している。

 マスク以外の個人防護具も同様の結果で、「十分に確保されている」が14.0%に対し、「十分ではない」が81.9%と多く、「使い回しをしている」も4.1%あった。

 こうした状況下にあって、自身の感染リスクに「不安はない」との回答は11.0%だったのに対し、「少し不安がある」が60.5%、「かなり不安である」も27.3%に上った。「体調不良をおこすほど不安」も1.2%あった。

 また院内感染の発生については、「不安はない」が8.7%に過ぎず、「少し不安な部分がある」が70.9%、「かなり問題がある」も16.3%だった。「既に院内感染が起きている」は4.1%だった。この点について全国医師ユニオンは、対策が講じられなければ、今後もさらに院内感染が発生し続ける可能性が高いと警告している。

政府の政策、70%近くが「対応できていない」

 調査では、COVID-19の検査や治療を行うために現場の医師が求めることも明らかにしたが、「感染防護具の十分な供給」が93.6%と最多で、「院内のゾーニングなどの感染防護体制の強化」が66.3%、「危険手当の支給」が61.6%で続いた(図1

 政府が展開するCOVID-19感染防止や診療体制構築などの政策については、「十分に対応している」が1.2%、「ある程度対応できている」が29.1%と評価している医師は30%程度だった。一方、「対応できているとは言えない」が48.4%、「全く対応できていない」が20.3%で、70%近くは評価していなかった。

図1 COVID-19の検査・治療に従事する医師が求めること

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