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医師5164人に聞いた「COVID-19院内感染対策、何をしていますか」
院内感染対策のベスト3は手洗い・マスク・換気
「入院患者にPCR検査実施」との回答も216人から

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが続いている。日経メディカル Onlineの医師会員を対象に、勤務先でCOVID-19院内感染予防のために新たな対策を講じたかを聞いたところ、91.1%が既に実施済みと回答した。その内容は、手洗い・マスク・換気がベスト3となった。基本的な感染防御策であり、導入時のハードルが低いもので実施率が高かった。一方で「電話やオンラインによる初診・再診の導入」、「入院患者を対象とした予防的PCR検査の実施」など、今回のパンデミックで話題になった積極的な対策を行ったとする回答も意外に多かった。

 このアンケートの実施期間は、2020年4月27日~5月10日。感染者の急増を受け4月16日には緊急事態宣言が全国に拡大された時期であり、総回答者数は5164人と医師の関心も高かった。

図1「先生が勤務する医療機関では、COVID-19の院内感染予防のために、何らかの対策を行っていますか」

 まず「先生が勤務する医療機関では、COVID-19の院内感染予防のために、何らかの対策を行っていますか」と聞いたところ(図1)、「既に行っている」が91.1%(4580人)、「これから行う予定である」が4.5%(227人)、「行う予定はない」が1.5%(74人)「分からない」が2.9%(145人)だった(比率は「診療はしてない」と回答した138人を除く5026人を母数にして算出)。感染者の増加とともに医療スタッフの院内感染事例が各地で発生しており、既に実施済みとの回答が9割を超えたことはうなずける。

図2「COVID-19の院内感染予防のために、先生が勤務する医療機関ではどのような対策を行いましたか」(複数回答、図に加えてない選択肢は「分からない」[68人]と「診療をしていない」[101人]、図はクリックで拡大)

 次に、31の選択肢を提示し、複数回答で「COVID-19の院内感染予防のために、先生が勤務する医療機関ではどのような対策を行いましたか」と聞いた。その結果が図2だ。最も多かった回答は「手洗い、手指消毒を徹底するようにした」(4287人)であり、次いで「常時マスクをすることにした」(4192人)、「換気のためできるだけ待合室や診察室の窓を開けている」(3292人)、「ドアノブや手すり、待合の椅子など什器の消毒を始めた」(3192人)となった。

 手指消毒、個人防護具(PPE)の使用、周辺環境整備などは患者と接するときの標準防御策の1つであり、これら基本に沿った対応がなされていると言える。ただし、地域や診療科によって、日常診療で接する全ての患者をCOVID-19疑いとして対応するのは無理がある。標準防御策の中でも、手指消毒やサージカルマスクの着用、換気など、導入のハードルの低い対策が中心になっているようだ。

 また、1150人が「手術件数を減らした・中止した」、462人が「急患の受け入れを制限した・中止した」と回答、日常診療への影響も無視できないことがうかがえる。一方、「電話やオンラインによる初診・再診を始めた」(1863人)、「入院時に院内でPCR検査を行うようにした」(216人)との回答は、意外に多いと感じた。

 自由記述欄の回答でまず多かったのは、マスク、ガウンなどのPPEや消毒用アルコールの不足。どこまで徹底した感染予防策を講じればよいのか、現状のような最大限の対応をいつまで行えばよいのかなど、分からないことが多く今後の展望が見えないことに対する不安の声も強かった。また、状況は日一日と変わっているが、PCR検査をオーダーしにくいという指摘もかなり多かった。

 経済的な影響も見逃せない。若い医師からはバイト先がなくなったという声が寄せられたほか、待機的手術の抑制や検診の中止により病院の収入が減り、このままでは倒産や閉院が心配との声もあった。これ以外にも、自施設で院内感染が発生したとの書き込みや、COVID-19以外の診療が手薄になっているとして、こうした患者に及ぶ影響を心配する指摘も多かった。次項では、第一線でパンデミックと闘っている医師から寄せられた様々な声を紹介する。

調査概要 日経メディカル Onlineの医師会員を対象に「COVID-19院内感染予防策に関するアンケート」としてウェブ上で実施。期間は2020年4月27日~5月10日。回答者数は5164人。回答医師の年齢分布は、20歳代276人(5.3%)、30歳代903人(17.5%)、40歳代1196人(23.2%)、50歳代1611人(31.2%)、60歳代1004人(19.4%)、70歳代154人(3.0%)、80歳以上20人(0.4%)。診療科は一般内科1087人(21.0%)、循環器内科305人(5.9%)、消化器内科303人(5.9%)、整形外科269人(5.2%)、精神科269人(5.2%)など。診療形態は勤務医(病院)3705人(71.7%)、勤務医(診療所)644人(12.5%)、開業医709人(13.7%)、その他106人(2.1%)。

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