日経メディカルのロゴ画像

トピック◎日本血栓止血学会
COVID-19で血栓症発症リスク増大、学会が警鐘
COVID-19を血栓症発症の重要なリスクと捉えて対応を

 日本血栓止血学会は5月13日、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染によって血栓症発症リスクが増大するとの警鐘をウェブサイトで発信した。

 国際血栓止血学会が発表したCOVID-19暫定ガイダンス(関連記事)を受け、日本固有の医療事情に対応したコメントを加えた上で同学会の提言として発表した。

日本血栓止血学会が発表した提言の冒頭

 提言は冒頭、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)において「凝固・線溶系の異常あるいは制御障害を示す事実が当初より指摘されてきた」との認識を示し、「これらの異常が症状の増悪、あるいは臨床転機にまで影響を及ぼすことが示されており、このような情報を医療者が共有する事は大変重要と考える」と宣言。その上で、「凝固異常に伴う血栓症発症とDICがCOVID-19の予後増悪因子である」「軽症患者に対する対応」「中等症患者に対する対応」「重症患者に対する対応」「DICに対する対応」「退院後の抗凝固療法」──の6項目からなる提言をまとめた。

 「凝固異常に伴う血栓症発症とDICがCOVID-19の予後増悪因子」では、日本でも「COVID-19を血栓症発症の重要なリスクと捉え対応する必要がある」と指摘。その上で、COVID-19感染者の重症度に応じた対応を求めた。

 「軽症患者に対する対応」では、「D-ダイマーの上昇などの血栓症の陽性所見のある場合は、抗凝固薬による血栓症予防療法を考慮する」とした。また陽性所見のない場合は、「深部静脈血栓症(DVT)予防のために継続的な運動、弾性ストッキング着用、あるいは IPCなど理学的予防法が推奨される」とし、「指定ホテルあるいは自宅で隔離された症例もこれに準じる」とした。

 「中等症患者に対する対応」では、「エビデンスは未だ報告されていない」との前置で、「COVID-19が血栓症発症の重要なリスクであることを考慮し、臨床症状、D-ダイマー値、フィブリノゲン値、血小板数を考慮して抗凝固療法を実施する」と提言。実施に当たっては、日本循環器学会の「肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン2017年改訂版」を参考に厳密な血栓症予防療法に留意するよう求めた。

 「重症患者に対する対応」では、国際血栓止血学会のCOVID-19暫定ガイダンスに準じて、「臨床症状、D-ダイマー値、フィブリノゲン値、血小板数を考慮した上で、抗凝固療法を実施することが推奨される」と結論している。

 「DICに対する対応」では、日本血栓止血学会のエキスパートコンセンサスを参考に厳密なDIC治療に留意するよう求めた。また、「退院後の抗凝固療法」も独自に取り上げ、「COVID-19では血栓症のリスクは遷延するとされる。退院時の抗凝固薬服用に関して考慮する必要がある」とコメントしている。

 なお、COVID-19感染者の重症度は、以下のように定義している。

 軽症:下記以外
 中等症:酸素療法が必要な患者
 重症:人工呼吸器やECMOによる管理等を要する患者

  • 1
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んでいる人におすすめ