日経メディカルのロゴ画像

NEWS◎大阪府保険医協会による医療機関対象の緊急アンケート速報
COVID-19で患者減の診療所8割、20%以上減6割
大阪府の保健所は「危機的な状況」、検査を「断られた」「電話がつながらない」が6割

 大阪府保険医協会が会員医療機関を対象にFAXによる緊急アンケートを実施し、複数回にわたって速報を公開した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による医療崩壊を避けるべく、診療所・病院への影響を把握し、大阪府や国に早急な対応を要請することを目的としている。

 速報は診療所・病院ごとに集計され、診療所については4月6日より4259件を対象にアンケートを開始し、4月8日時点(回答数926件、回収率21.7%)と4月14日時点(回答数1011件、回収率23.7%)のデータが公開されている。病院に関しては、4月8日から502件を対象とし、4月13日時点(回答数80件、回収率15.9%)の結果を報告している。以下、診療所については一部を除き、4月14日時点の数値を示す。

 2月以降の外来患者数についての設問では「減った」との回答が診療所85.3%(862件)、病院72.5%(58件)を占めた。その中で20%以上減と申告したのは診療所62.6%、病院53.4%であった。患者数減に伴う国への要望としては保障を望む声が最多で、検査体制の整備や診療報酬に関する意見が続いた。

保健所が機能していない?

 COVID-19を疑う患者の来院が「あった」と答えたのは診療所47.1%(476件)、病院65.0%(52件)だった。「あった」とした医療機関のうち、疑い患者を保健所(帰国者・接触者相談センター)へ紹介した際に「断られた(かかりつけ医で診るよう言われたなど)」は診療所476件中265件、病院52件中18件、「電話がつながらない」が診療所148件、病院11件に上った(重複回答あり)。「断られた」「電話がつながらない」と回答した医療機関の実数が「あった」全体に占める割合は診療所59.7%(4月8日時点のデータ)、病院44.2%となった。

 同協会は、医療機関が「検査が必要と感じたにもかかわらず、患者の紹介ができない実態」を指摘し、保健所機能について「危機的な状況」が危惧されるとしている。この背景には、1994年に制定された地域保健法により全国の保健所の削減が進み、特に大阪市では保健所が1つに統合されたことなどが影響していると推測される。保健所に検査を断られたがCOVID-19だと判明したケースなども発生しており、深刻な状況がうかがえる。

 さらに、帰国者・接触者外来を行う医療機関の医師への公表に対して「公表を希望」と回答したのは、診療所は58.3%(589件)と半数を超えたが、病院では32.5%(26件)にとどまった。同協会は 3月12日、大阪府下の帰国者・接触者外来を担う医療機関名を一般医療機関に対して公開するよう大阪府に要請している。

 37.5℃以上の発熱や咳のある患者が来院した場合の対応(重複回答あり)としては、「遠慮してもらっている」「他医院の受診促す」のみと回答した実数の全数に対する割合は診療所20.0%(4月8日時点のデータ)、病院17.5%という結果となった。同協会は「保健所機能が“崩壊状態”」であり「マスクや消毒液不足」の状況下でも、多くの医療機関がCOVID-19疑い患者の診療に当たっているとまとめている。ただし、一方で診療拒否によって診療所をたらい回しにされているケースもあるようだ。


 他に、マスクや消毒液などが不足し現在の診療に支障が出ているかについて、「支障あり」は診療所で69.5%(703件)、病院は68.8%(55件)を占めた。「支障ない」と答えた診療所(300件)でも「近い将来足りなくなる」などの不安を訴えた件数は85件に上った。COVID-19の広がりはまだ収束の様子を見せていない。今後、適切な診療環境を確保・維持していくためにも検査能力の拡充や治療法の確立、個人防護具の十分な供給などの課題が浮き彫りになったと言える。


 同協会はアンケートの結果を受け、4月17日に医療機関への個人防護具支給、費用補填、発熱外来設置などを求める要望書を内閣総理大臣ら宛てに提出している。

  • 1
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んでいる人におすすめ