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阪大らが3Dプリンター用データを無料公開
クリアファイルで作るフェースシールド誕生

2020/04/04
伊藤 瑳恵

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は急速に世界各地で広がり、医療従事者のPPEの欠乏への対策は待ったなしの状況だ。本来、マスクやフェースシールド、エプロン、手袋などのPPEは単回使用が原則で、一処置ごとに交換しているが、十分な在庫が確保できず、やむを得ず交換回数を減らしたり代替品で対応したりする医療機関も多い。米ニューヨーク州では、ガウンの代わりにごみ袋を被って治療に当たる医師の様子が報道されたほどだ。

 従来、こうした緊急事態に直面した際、多くの国では他国からの緊急輸入で対応してきた。しかし、今回は感染拡大のスピードがかつてないほど急速かつ、感染地域が全世界に広がっているため、他国からの輸入には頼れない。

 そこで医療従事者の間で広がっているのが、「PPT CHALLENGE」と呼ばれる動きだ。簡単に手に入る材料を使って医療機関でも作成できるPPEの代替品の“レシピ”を動画やデータで世界に発信する取り組みである。既にPPE欠乏の最中にある欧米で活発に行われているという。

 中島氏はCOVID-19対策においては、(1)ユニバーサルであること、(2)ファブレス(大きな工場を必要としない)であること、(3)低価格であること――の3点を念頭に置く必要があると話す。欧米や東アジアだけでなく、これから感染拡大が予想されるアフリカや中南米などの地域でも、材料を調達できることが望ましいというわけだ。クリアファイルを材料に用いたのも、クリアファイルや透明プラスチック製のブックカバーが世界中のあらゆる地域で日常品として使われており、手に入りやすいからだ。

大阪大学のバーチャルエンジニアリング工房に設置されている3Dプリンター

 実は、今回のフェースシールドは、着想からわずか3日で開発した。短期間での開発を可能にしたのが、日本医療研究開発機構(AMED)の支援を受けて大阪大学に設置されているバーチャルエンジニアリング工房の技術である。コンピューター上で3Dデータを加工・改良を繰り返すことで迅速な開発に成功した。

 まずは、PPE不足が深刻な欧米や、十分な医療資源が確保できておらず今後感染拡大が懸念されるアフリカ諸国などで活用してもらいたい考えだ。「いずれそのような事態が来たときの手立てとして広がってほしい」と中島氏は言う。

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シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

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