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阪大らが3Dプリンター用データを無料公開
クリアファイルで作るフェースシールド誕生

2020/04/04
伊藤 瑳恵

 3Dプリンターがあれば、クリアファイル1つでフェースシールドを作れる――。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染対策に用いる個人防護具(PPE)の不足が言われる中、大阪大学次世代内視鏡治療学共同研究講座兼外科学講座特任教授の中島清一氏らが、メガネフレームメーカーのシャルマン(福井県鯖江市)と共同で開発した。

写真1 ファイスシールドを装着している様子

 今回発表したフェースシールドは、シールド部分にクリアファイルを使用し、3Dプリンターでフレームを作成するというもの。フレームでクリアファイルを挟み、カチューシャのように耳の上に固定すれば、クリアファイルで顔全体を覆うことができる。曇りが気になる場合は、クリアファイル下部を切り取り、空気の通り道を作ることも可能だ。クリアファイルは使い捨てだが、フレーム部分は除菌や洗浄を行えば、複数回使える耐久性があると中島氏らは見る。

 中島氏らは、3Dプリンター用のデータを2020年4月1日に既に無料公開しており、3Dプリンターさえあればどこでも簡単に作成できる。ホームページでは今後、作り方を説明した動画も公開していく予定だという。

動画1 3Dプリンターを用いたフェースシールドの組み立て方

動画2 曇りが気になる場合のクリアファイルの加工方法

 使用する3Dプリンターに制限はない。3Dプリントの材料として最も一般的なABS材を用いた場合、フレームは86~315円で作成可能だ。クリアファイルの値段(1枚18~24円)と合わせても300円程度と安価である。

 3Dプリンターを所有している国内の医療機関はそれほど多くないと見られるが、低価格化が進み、安価な物は3万円程で購入できる。「医療機関でも導入を検討しやすい。もしも難しければ、周辺にある企業の協力を仰いで作成してもらうのも手だろう」と中島氏は話す。作成時間は、3Dプリンターの積層(積み重ね)の粗さの設定によって異なるが、フレーム1つ当たり最速で1時間15分で制作できる。

写真2 大阪大学次世代内視鏡治療学共同研究講座兼外科学講座特任教授の中島清一氏

 中島氏は、医療資源が間に合う間は、きちんとした保護効果が認められている既存の製品を使うことが最も望ましいとした上で、「万が一在庫が欠乏する事態に陥った場合に世界中で簡単に利用できるデータをいち早く公開したかった」と強調した。今回のフェースシールドでどれだけの保護効果があるのかの検証は今後の課題だ。また、中島氏は現状の構造が最適とは考えておらず、「使いながら改良を加えていってほしい」と呼びかけた。

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