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緊急調査◎医師3668人に聞いた「新型コロナウイルス感染症の外来患者数への影響」
53.4%が「患者減」、大打撃を受けた診療科は?

 新型コロナウイルス感染症の流行で、政府は不要不急の外出を自粛するよう呼びかけている。3月2日から春休み期間まで全国の小中学校で臨時休校の要請も行われた。こうした“自粛ムード”が広がる中、患者が医療機関の受診を手控える動きも広がっているようだ。

 日経メディカル Onlineは医師会員3668人を対象に2020年3月13日~17日にかけて緊急調査を実施。新型コロナウイルス感染症の影響などによって、外来患者数がどう変化しているか聞いた。その結果、1年前の同じ時期と比べて患者数が減っていると答えた医師は全体の53.4%だった(図1)。

図1 先生が担当している外来の患者数は、昨年同月比で増えていますか? 減っていますか?
「外来を担当していない、去年と比較できない」と答えた医師244人を除く3424人で円グラフを作成。

 調査で、外来患者が「25%未満減っている」と答えた医師は1234人(36.0%)、「25%以上50%未満減っている」は469人(13.7%)、「50%超減っている」は120人(3.5%)いた。「外来機能を停止している」と回答した医師も8人(0.2%)いた。半数以上の外来で患者数の減少が起きていることが分かる。

小児科は大幅減、患者の受診抑制も影響

 診療科でクロス分析をした結果は以下の通りだ。

 「減っている」「機能停止」の割合が78.0%と最も多く、大きな打撃を受けているのが小児科。続いて、整形外科(63.7%)、消化器内科(61.2%)が患者を減らしていた(図2)。

図2 診療科別、外来患者数の変化(その1)

 患者が「50%超減っている」と答えた病院勤務の小児科医(40歳代)は、「小児科はそもそも感染症の患者が占める割合が多い。新型コロナウイルスを警戒して手洗いやマスクをして、しかも集団生活まで自粛するようになった結果、感染症が激減した」とコメント。確かに例年、インフルエンザは3月中旬~下旬ぐらいまで流行が続くが、今年は2月中旬には収束に向かった(参考記事)。集団生活で広がりやすい通常のかぜや胃腸炎なども含めた感染症が減ったことが患者数の減少につながっているとみられる。

 「学校が休みでけがや部活での受傷が減っている」(60歳代開業医、整形外科)、「子どもが外であまり遊んだり運動しなくなったことで、けが人が減っている」(50歳代開業医、整形外科)という声があるように、整形外科も休校の影響が大きいかもしれない。ただ、「患者が自発的に来なくなったのでは」と予想する意見も。「病院にくるとウイルスに感染すると考えている親が多いのだろう」(50歳代病院勤務医、小児科)という声のほか、「患者が半分以上減った。今まで、いかに不要不急の受診ばかりであったかがよく分かる」(50歳代病院勤務医、整形外科)、「整形外科は、他科のついでの受診がそもそも多かった。もっと減るぐらいでちょうどいい。ようやく通院が必要な人に時間をかけられる」(30歳代病院勤務医、整形外科)といった医師の本音もみられた。

影響が小さいのは精神科、今後は患者増の懸念も

図3 診療科別、外来患者数の変化(その2)

 逆に、「変わらない」の占める割合が73.3%と多く、影響が少なかったのが精神科だ(図3)。「精神科の場合、直接の影響はないが、このまま流行が長引くと長期処方を求める患者さんが増えそう」(50歳代病院勤務医、精神科)という意見がある一方、「まだ影響は受けていないが、日本経済がダメージを受けて仕事がなくなる人が出てくれば、精神科の患者は増えてくると思う」(30歳代病院勤務医、精神科)、「受診を控える患者もいそうだが、感染恐怖症や不潔恐怖の悪化によって、手洗い時間や回数がさらに増加し、生活が立ち行かなくなる患者さんは増える可能性もある」(60歳代病院勤務医、精神科)というように、今後、患者数が増えることを予想する医師も多かった。

 このほか、「変わらない」という回答が多かったのが、一般外科・消化器外科(51.8%)、脳神経外科(50.5%)といった外科系の診療科。「外科の外来は、術後フォローアップや定期処方の患者ばかりで特に影響はない」(50歳代病院勤務医、一般外科)。ただし、「新型コロナウイルスへの感染を避けるため、時間外の救急外来受診は減っている」(40歳代病院勤務医、消化器外科)という意見に代表されるように、軽症者の時間外受診は減っている模様だ。

一部の呼吸器内科には患者が殺到

図4 診療科別、外来患者数の変化(その3)

 患者数が昨年同月比で「増えている」という回答が一番多かったのが、呼吸器内科(9.7%)(図4)。中でも、「患者が50%超増えている」と回答した医師は、「近隣の医療機関が呼吸器症状のある患者の対応をやめたので、当院を受診する患者が増えた」(60歳代病院勤務医、呼吸器内科)、「患者の偏在が起きている。患者が増え、非常に苦しい」(50歳代病院勤務医、呼吸器内科)と、患者が殺到している窮状を訴える。

 「当院で新型肺炎が発生したため、外来機能を停止した」(40歳代病院勤務医、循環器内科)、「新規患者をストップしている」(50歳代病院勤務医、呼吸器内科)などと、感染の広がりを抑えるために外来機能を停止している医療機関もあり、一部の地域では、患者偏在とそれに伴う混乱が既に発生しているとみられる。

 調査の自由記述欄に寄せられたその他の意見を紹介する。

調査の自由記述欄から

【患者数が減っている】
いわゆるコンビニ受診は減っていると思う。加えて、外を出歩かないので、けがや体調不良も減っている。その一方で、必要な受診を我慢している人もいると思うので、その影響が懸念される。(40歳代病院勤務医、救急科)

通院や内服の継続が必要な患者も感染を懸念して受診を控える傾向にある。疾患を正しく恐れるよう啓発も必要だと考える。(30歳代病院勤務医、循環器内科)

感染を恐れて受診控えがあるのと、こちらも意図的に30日処方の人は90日処方にするなど、長期処方に切り替えている。(60歳代開業医、呼吸器内科)

健康診断をこの時期にあえて受けようという受診者はほとんどいない。(50歳代健診センター勤務)

夜間救急外来では、わざわざ夜に来る必要はないだろうと今まで思っていたような患者が受診を控えるようになった印象。(20歳代病院勤務医、初期研修)

【患者数は変わらない】
院内感染を防ぐため、安定した慢性疾患の患者さんはできるだけ電話再診にしたいが、普通に受診されている印象。(40歳代診療所勤務医、一般内科)

COVID-19疑いの患者のみを診療する外来が設置されたため、うちの科の外来患者数は不変。(20歳代病院勤務医、代謝・内分泌内科)

3月第1週は少しだけ減ったが、第2週はかえって少し増えている。行くところのない学生が、この暇なときに受診しているような感じである。(50歳代病院勤務、皮膚科)

現在のところ県内発生が無いため、変わっていない。(50歳代病院勤務医、消化器内科)

離島にあって、住民も少なく、皆あまり感染の拡大を切実に捉えていない。(70歳代診療所勤務医、総合診療科)

【患者数が増えている】
受診をセーブしている人もいるが、閉鎖した近隣の拠点病院の影響もあってトータルでは若干増えている。(50歳代病院勤務医、循環器内科)

学校が休みになり時間に余裕ができたのか、コンタクトレンズ処方のために来院する患者が増加している。(50歳代診療所勤務医、眼科)

休校の影響で子どもの患者が増えた。(40歳代開業医、皮膚科)

泌尿器科は安全だと思われているのと、働いている人も自宅待機などで時間の余裕があるらしく、受診が増えている。(50歳代開業医、泌尿器科)

複数のパート医師が子どもの休校を理由に休んだり、感染リスクの高い外来業務を拒否するようになった。その分の業務が常勤医の私たちに降ってきた。げんなりする。(50歳代病院勤務医、整形外科)

調査概要 日経メディカル Online医師会員を対象にウェブアンケートを実施。期間は2020年3月13~17日で、回答者数は3668人。内訳は、病院勤務医69.9%、開業医15.1%、診療所勤務医12.9%など。集計対象者の内訳は、20歳代3.4%、30歳代16.4%、40歳代22.5%、50歳代33.3%、60歳代21.0%、70歳代3.1%、80歳以上0.4%。

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