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 厚生労働省の検討会での医師の働き方改革の議論が、大詰めを迎えています。「医師の働き方改革に関する検討会」が、2024年4月から医師に時間外労働の上限規制を適用する報告書を2019年3月末にまとめて以降、厚労省はより詳細な制度の枠組みなどを検討するため2つの検討会を立ち上げました。

 1つは「医師の働き方改革の推進に関する検討会」で、地域医療の確保を目的とした時間外労働の特例水準の対象となる医療機関の特定方法などを議論しています。もう1つが「医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会」で、タスクシフトやタスクシェアの効果や具体的なあり方などを検討しています。実は両検討会とも「2019年末までに一定の結論を得る」としていましたが、構成員間の意見を収束しきれず、今年1月以降も議論を継続して、できるだけ早期に取りまとめを行うことになりました。裏を返せば、医師の働き方改革はそれだけ医療界に大きな影響を与える重大事項だということでしょう。

働き方改革の取り組みはあまり進んでいない?

 医師の時間外労働上限規制は、2024年4月から全ての医師について時間外労働を「年960時間以下」(A水準)に抑えるのが原則です。地域医療の確保のためやむを得ない場合(B水準)や、集中的に多くの症例を経験する必要がある研修医など(C水準)では、「年1860時間以下」に時間外労働の上限が緩和されます(図1)。

図1 2024年4月から適用される医師の時間外労働規制
(出典:第5回医師の働き方改革の推進に関する検討会資料)

 ただ、B・C水準の対象となるには様々な要件を満たした上で、医師労働時間短縮計画を策定して都道府県に提出し、新設される機関「評価機能」の評価を受けなければならないなど、ハードルはかなり高くなると考えられます。さらに、B水準は2035年度末が終了年限とされ、以降はA水準に集約される予定となっています。その意味では、多くの医療機関ができるだけ早く医師の働き方改革に取り組まなければならない状況にあります。

 ですが、その進捗状況は必ずしもスムーズに進んでいるとはいえないようです。少し古いですが、厚労省が2018年9~10月に全国の8379病院を対象に調査した結果では、医師の「客観的な在院時間管理方法の導入」や「在院時間の実態の把握」などを実施している病院の割合は約4割にとどまっていました。法定時間外労働・休日労働について労使が結ぶ労働基準法36条に基づく協定(いわゆる36協定)の自己点検状況については、「予定していない」病院が約3割に上り、そのうち「36協定を締結しておらず締結の必要もないため、自己点検を予定していない」という病院が約3割にも達していました。

 こうした取り組みは、働き方改革を進める上でまず着手しなければならない活動です。一方で、「働き方改革をどう進めればいいのか」と、病院経営者の戸惑いの声も少なからずあります。

多岐にわたる改革の取り組み

 医師の働き方改革をスムーズに進展させるには、経営者の労働関連法規への理解や労務管理のマネジメント能力の向上はもちろんのこと、全職員の理解促進や院内の多職種間連携の推進、さらには地域の他院との役割分担、病棟機能の見直しなど多岐にわたる取り組みが必要で、一朝一夕にはいかないのが現状です。

 その際に少しでも参考になるよう、日経ヘルスケアでは2019年6月末に書籍『医師の働き方改革大全』を発行しました。病院経営者や弁護士、社会保険労務士、人材コンサルタントなど総勢18人の専門家が各専門分野の執筆を担当し、厚労省の「医師の働き方改革に関する検討会」の構成員である裴英洙氏が監修を務めました。

 さらに2020年2月27日(木)には、裴氏を講師に『医師の働き方改革最前線セミナー』(詳しくはこちら)を開催します。医師の働き方改革を総覧する一方で、最新の制度情報や医療機関が今から講じるべき対策などについて裴氏に解説していただきます。当日は、書籍『医師の働き方改革大全』をテキストとしてお配りします。多くの方に参加いただけると幸いです。

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