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第2回医療マンガ大賞の開催が決定
マンガを使って2025年問題の解決目指す

2020/09/17
編集部

 団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、わが国の超高齢社会が更に進む2025年。団塊の世代にとどまらず、それを支える世代も医療の在り方を他人事として捉えられない時代が目前に迫る中、一般市民に医療を身近に感じてもらうための取り組みが横浜市で始まっている。その1つが実際の医療現場での出来事、話題を“お題”として提示し、それを元にしたマンガを募集する「医療マンガ大賞」だ。横浜市と編集者の佐渡島庸平氏らが連携して2019年から開始したこの企画は、今年も9月17日から10月15日にかけてマンガが募集される(https://iryo-manga.city.yokohama.lg.jp/)。今年からは日経メディカルもお題提供で協力する。この賞を企画した横浜市医療局医療政策部医療政策課担当係長の大山紘平氏に話を聞いた。

医療マンガ大賞を企画した横浜市医療局医療政策部医療政策課担当係長の大山紘平氏。

──なぜこのような取り組みをしようと思ったのでしょうか?

大山 行政はもともと広報があまり得意ではありません。発信自体は積極的に行っているのですが、興味のない人に見てもらえないのです。医療分野ではいわゆる2025年問題があるため、より「現在医療に触れることがない人にも医療のことをもっと身近に感じてもらいたい」という問題意識が強くありました。

 医療従事者と市民、行政はそれぞれの立場で医療の問題に向き合おうとしていますが、立場が違うが故のすれ違いが生じてしまっています。それぞれの視点を知ってもらって意識改革や行動変容につなげてもらうために「医療の視点」というキーワードを設定し、2018年には「視点を変える展」という展示会を行いました。このイベントでは見る位置で形が変わるようなクリスマスツリーなどを展示して、「なんで医療局が主催なの?」と聞かれるようなものを目指しました。

 続いて考えたのが、マンガを使った取り組みです。SNSやマンガなどビジュアルを使った取り組みが広がりつつある中、これを用いて何かできかないかなと。特にマンガは医療が必要のない人たちに、情報に触れてもらうためのハードルを下げるために適切ではないかと思ったのです。私自身、もともとマンガを読むことが好きで、(井上雄彦『バガボンド』や三田紀房『ドラゴン桜』〔いずれも講談社刊〕を手掛けたマンガ編集者の)佐渡島庸平さんも兼ねてから知っており、コラボできたら面白いんじゃないかということもありました。


──第1回の反響はいかがでしたか?

大山 55本のマンガの応募がありました。また、ツイッターでは合計で1億リーチあったようで、重複があるとはいえ、多くの方の目に触れていただくことができたと思います。個人的にうれしかったのは、横浜市としての取り組み自体を褒めてもらえたこと。行政の広報で斬新なアプローチをしたという点に注目してもらえるのはうれしかったです。また、医療現場とは関係のない一般の方のツイートで、自分の立場と照らし合わせて考えてくれているツイートを見たときはありがたかったですね。企画を立ち上げた際には最初はおっかなびっくりでしたが、ふたを開けるといろんな人が協力して下さって、好意的にとってもらえたと感じています。
 

──問題はなかったのでしょうか。

大山 昨年は短期間での準備、開催だったため、詰め方が甘かった点はあると思います。効果検証も十分にできませんでした。また、マンガを読んで、「なるほど」と思ってくれた人たちを離脱させずに、もう少し高い位置にある医療情報にアクセスできるような動線のデザインが課題です。その点でも、今年は朝日新聞やケアネット、日経メディカルといった医療情報を発信している媒体と連携するのは心強いです。


──ツイッターでの発信を通して、一般市民への情報提供はうまくいった印象を受けますが、昨年は医療従事者には十分アプローチできなかったのではないでしょうか。

大山 確かに昨年はリーチできた医療者はSNSを活用している層に絞られてしまった感があるのは事実です。そこで今回は横浜市内の病院にもお話を持ち掛けることは考えています。審査員の中にも横浜市医師会の先生がいるので、一緒に発信できればいいなとも。医療従事者に対しては、横浜市の行政としての取り組みを知ってもらうことで、医療情報の伝達に対して、ポジティブな空気感を作り出せればと思っています。工夫して医療を伝えようとしているのだ、という姿勢が伝わればうれしいです。


──今回と前回で変更点があれば教えてください。

大山 まずマンガの募集方法です。昨年は漫画投稿プラットフォーム上のみでしたが今年はツイッター上でも募集する予定です。間口を広げることで、マンガを書いているような学生などにも興味を持ってもらえればよいなと思っています。また、昨年度よりも取り組みに共感して、協力してくださる人が増えたので、エピソード原案も広がりを見せられると思います。審査員の漫画家さんも増えて、本当にありがたいなと思っています。

 
──マンガとのコラボで気になるのは、エピソードの質、正確さの点です。どのように担保されますか?

大山 エピソードで事実と大きく異なった話を出してしまうと、途端にマンガにも説得力がなくなってしまうので、行政(横浜市)以外の専門家の人に確認してもらっています。具体的には、連携協定を締結している、医療情報を発信するメディカルノートに協力してもらっています。ただ、マンガ家さんの裁量が発揮できるように、細かい背景情報はぼかす等して描きやすいようにしていますが。

 
──今後、医療マンガ大賞をどのような賞に育てていきたいですか。

大山 横浜市だけではなく、全国誰でも知っている賞になれば最高です。横浜市という枠組みにとらわれすぎる必要性はなく、この取り組み自体に関心を持ってもらえたらと思います。「何かをやりたい」ということは口に出して発信していくのも大事だと思いました。全国どこでも、抱えている課題は似ていると思います。広げられるような形になればいいですね。

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