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私の視点(オリジナル)

2008. 6. 21

大地震!バス転落!!―岩手・宮城内陸地震の現場から

昆 祐理(八戸市立市民病院救命救急センター)  

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救急医療

 千葉医師(八戸DMAT)が「モニター出ました。血圧測定できず。脈拍120です」と伝える。依然、橈骨動脈は触れなかった。大腿動脈がかろうじて触れた。

 ドレーンはなかなか出てこなかった。末梢ルート確保に難渋しており、私は右肘静脈より18Gでルート確保した。D(中枢神経障害)を確認したところ、GCSでE4V5M6。瞳孔所見は問題なかった。ここでやっと胸腔ドレーンが出てきたが、何と、20Fr。細い…(>o<)

 皮切を大きく開けてペアンで胸膜を大きく広げ、用手的にドレナージしてから胸腔ドレーンを挿入した。どす黒い出血がドレーンの中を流れていく。名前も分からない研修医の1人に「5分おきに量を教えて。その前に1000mL出たらすぐに教えて」と指示した。橈骨動脈を触れると、さっきまでは触れていなかったものが触れるように!!

 ほっとして周りを見渡すと、続々と患者が搬入されていて、ERにはどんな患者が何人運ばれているのかも分からない状態だった。秋富医師が後ろから来て、「この患者が一番重症だから…」と言いながら、患者の大腿動脈に動脈ラインをさっと入れてくれた。動脈ラインの血圧では150/80、脈拍は120だった。この時点で輸液は1000mL投与されていた。


動画 ERで血胸の量を秋富医師に申し送り

上腕骨脱臼骨折

 Primary SurveyでBとCに異常を認めた患者だったが、安定化を得られることができた。

 Secondary Surveyでは、新たに上腕骨脱臼骨折と両下腿挫傷を認めた。また、2回目のFASTでは左血胸は認めなかったが、胸部X線で肺野に左右差があり、左がやや白かった。この時点でこの患者の高次病院への広域搬送が決定しており、ヘリが手配中だった。ヘリ搬送に耐えられるように左胸腔ドレーンを挿入したところ、左にも血胸が認められた。TRISS法(外傷患者の生理的兆候などから予測救命率を算出する方法)による判定ではISS(外傷重症度スコア)20、予測救命率は66%だった。


動画 下腿の創の処置

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