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私の視点(オリジナル)

2008. 6. 21

大地震!バス転落!!―岩手・宮城内陸地震の現場から

昆 祐理(八戸市立市民病院救命救急センター)  

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救急医療

ERの現場

 胆沢病院に到着後すぐ、バス転落事故により6人の患者が搬入されてくるとの連絡が入り、すぐにヘリからの搬入受け入れチームと胆沢病院ERで診療するチームに分かれた。われわれを含むDMAT2チームがERでの診療に当たった。

 胆沢病院ERは、緊急に参集されたと思われる研修医や看護師などの人員であふれていた(その中で、「外傷の診療に携わったことがある」と申告した医師はほとんどいなかった)。自己紹介を早急に済ませるとともに、1人目の患者がすぐに搬入された。

14:58 1人目搬入
 1人目の患者は、見るからに下肢長差があり、右下肢が変な方向に曲がっていた。胆沢病院の医師や看護師、他チームが周りにたくさんいて、ベッドの近くには到達できず。遠目からでは「骨盤骨折か大腿骨骨折かな〜、しゃべっているからA(気道)は大丈夫か…」などと思いながら、次の患者を待った。

 1人目の診療は別チームが担当。その診療手順を見て、「これはきちんとリーダーを決めないと」と思う。次のベッドを担当する胆沢病院医師を呼ぼうとしたところで、次の患者が搬入されてきた。

ショック患者に橈骨動脈を触れながら呼びかける

15:03 2人目搬入
 救急車から弘前医療班の安達医師が下りてきた。「手足が冷たくショック、胸に圧痛があります。今わかるのはそれだけです!」 すぐに橈骨動脈を触れたところ、脈が触れない!冷たく湿っている。「大丈夫? 分かりますか?」と声をかけると、「分かります」と弱い返事が返ってきた。

 「ショックです!!」。叫びながらERへ。搬送担架よりストレッチャーに患者を移した。酸素投与とモニター貼付、ルート確保を指示して、普段どおりに診察を進めた。災害といえども、ここはER。資材と機材は何でもあるし、スタッフの数も十分だった。Aは大丈夫。B(呼吸)は頻呼吸あり、両胸に圧痛を認めた。緊張性気胸のサインはない。フレイルチェストもない。

 C(循環)はショック! 胸部・骨盤X線の指示を出し、FAST(外傷の初期診療における迅速簡易超音波検査)を行った。FASTでは、腹腔内に貯留液はなかったが、右胸に液体貯留を認めた。“多発肋骨骨折→大量血胸!”と思い、次の瞬間には「胸腔ドレーン用意して!!」と叫んでいた。


動画 FASTで血胸を同定

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