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コメンタリー [08 Summer]
重み増すがん診療所、薬剤師の役割 渡辺 亨 (浜松オンコロジーセンター長)

2008/06/18
日経メディカルCancer Review

がん治療における診療所薬剤師の必要性
 
外来化学療法加算(500点)算定のためには、専属薬剤師の雇用が求められている。がん診療所薬剤師の最も重要な業務は、点滴抗がん剤の適切な調剤である。また、レジメンを設計する際の配合禁忌の確認、至適点滴セットの選定、合理的点滴計画の作成などの実務も薬剤師が担当しなくてはならない。その他、内服薬も含めた在庫管理、収益管理、情報処理など、薬剤にかかわる基本業務を負う。

内服薬に関しては、医療費や患者の利便性を考慮すれば、院内調剤が望ましい。一般的には、内科診療所におる在庫薬剤品目数は100~150が必要十分と考
えられる。これに、ホルモン剤、内服抗がん剤、がん治療支持療法剤、緩和治療薬剤などを加えると、150~200品目程度が必要である。これらの有効期限を管理し、不良在庫を発生しないような在庫管理も薬剤師の重要な業務である。

薬剤師「冬の時代」

現在、労働環境の厳しい病院薬剤師は、病院を退職し、雇用待遇の良好な院外調剤薬局に転職している。数々の優遇策に守られて院外調剤が今日まで安泰に発展してきたが、次回の診療報酬改定では、この優遇策が大幅に見直される可能性が高い。すると現在のような待遇での薬剤師雇用を継続することは極めて困難な状況になる。2年後には薬剤師が大量に解雇され、失業する薬剤師も少なからず発生することが予想される。薬剤師冬の時代の到来である。
 

また、4年制から6年制に移行と同時に倍増した薬科大学、大学薬学部は、大量の卒業生を輩出するが、その頃には、調剤薬局での薬剤師は飽和状態となっており大量解雇される可能性が高い。薬剤師の就職に関しては、現在は確かに売り手市場である。つまり、薬剤師が調剤薬局に囲い込まれ、地方では薬剤師不足状態となっている。

しかし、2年後に調剤薬局の優遇策が緩和されると、調剤薬局を解雇される薬剤師が大量に発生するが、ちょうど、4年制から6年制への移行にあたり、2年間卒業生が出ない時期に一致するため、薬剤師だぶつき感は、相殺されるだろう。しかし、その後は、薬剤師過剰時代、薬剤師失業時代が到来するだろう。


がん医療における診療所薬剤師は時代の要請
 
化学療法が外来に移行したことは、薬剤師の勤務場所も病院から診療所に移ることを意味する。いつの時代にも、時代のニーズに応じた専門性を養い、その資格を獲得することが過当競争を生き延びる上で大切な方策である。薬剤師が生き延びる道は、診療所薬剤師である。

さらに、がん治療専門薬剤師の認定資格など、取得可能な資格は可能な限りチャレンジしておくことが大切である。がん診療における診療所薬剤師は、まさに時代の要請であり、最も大切なコメディカルの一つであろう。


渡辺 亨 氏 P R O F I L E 

1955年、静岡生まれ。北海道大学医学部卒業、米国留学を経て国立がんセンター中央病院内科医長。国際医療福祉大学臨床医学センター教授、山王メディカルプラザ・オンコロジー長を務めた後、郷里浜松市の実家である渡辺医院を承継しつつ、浜松オンコロジーセンター(http://www.oncoloplan.com/)を開設。編著書に「がん診療レジデントマニュアル」(編集責任者、医学書院)、「がん常識の嘘」(朝日新聞社)など

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