日経メディカルのロゴ画像

ルポ がん医療の現場
末期がん患者の在宅緩和ケアは薬局との連携でグッと楽になる

2008/06/18
日経メディカルCancer Review

夜間・休日の対応は事前に確認
 
 このように、在宅緩和ケアを手掛ける医師にとって、医療チームの一員に薬局薬剤師が存在するメリットは大きい。ただし、現段階では在宅緩和ケアに積極的に取り組んでいる薬局はそれほど多くはない。
 
自院の外来処方せんを多く応需する薬局が、在宅医療に取り組んでいるとは限らないため、まずは医療チームの一員として参加してくれる薬局を探す必要がある。薬局の情報は、在宅を手掛けるほかの医師や訪問看護師、ケアマネジャーが持っていることが多いため、聞いてみるとよい。
 
連携する薬局の条件として、出水氏は「熱意があること」を挙げる。末期がん患者の在宅緩和ケアでは、管理が煩雑な麻薬性鎮痛剤の在庫をそろえたり、患者の容態の変化に伴う急な処方変更への対応や無菌調剤への対応も必要など、外来処方せんの調剤や通常の在宅ケアよりも薬局の負担が大きく、「熱意がないと続かない」(出水氏)からだ。
 
夜間・休日の対応については、予め体制を確認しておく必要がある。「頻度は高くないが、いざというときに動
いてもらえないと困る」ため、出水氏は「地元に密着した個人薬局がいい」と考える。個人薬局のほうが、何か
と小回りが利くからだ。
 
個人薬局でなければ、会社としてきちんと体制を整えていることが重要だ。チェーン薬局のスギ薬局では、土日も開局しており夜間は当番の薬剤師がオンコールで緊急時に対応している。

患者情報を共有してよりよい連携へ
 
薬局と連携していても、薬剤のデリバリーだけを依頼するのでは薬剤師と連携しているメリットを十分に享受できているとはいえない。牛谷氏は「薬剤師としての専門性を生かして仕事をしてもらうためには、患者情報を
共有することが重要」と言う。
 
そこでクリニックうしたにでは、毎週土曜日の午後に看護師と事務スタッフ、連携薬局である薬局つばめファーマシーの萩田氏が参加するカンファレンスを開いている。
 
「明日、退院して在宅に移られるAさんは、末期膵臓がんで本人が自宅に帰ることを希望されました。現在、
デュロテップパッチ5mg で痛みのコントロールは良好です」「3日後の( デュロテップパッチの) 貼り替え日に様子を見に行ってみます。レスキューの用意は必要ありませんか」「しばらく様子を診ましょう。早ければ2 週間程度で容態が変化する可能性があるので注意しておいてください」――。カンファレンスでは、このような医師や看護師、薬剤師のやり取りが見られる。
 
牛谷氏は、「在宅ケアは医師一人ではできない。患者の状態を、各職種が専門の目で見ていくことが大切。薬剤師もその一員。できるだけ患者の状態を知ってもらい、認識を一致させておくことが重要」と顔を合わせて情報を共有する時間を持つことの重要性を語る。

 とはいえ、このように頻繁にカンファレンスできる環境が作れるのは、むしろまれなケースだ。「情報共有と意志の統一は不可欠だが、カンファレンスは互いの時間を合わせる必要があるなど、難しい面が多い」と考える出水クリニックの出水氏は、右の写真のような「Opioid 使用連絡書」を作成し、薬剤の使用方法や告知の有無、麻薬についてどのように説明しているかなどの情報を薬局に提供している。さらに、同氏は、訪問看護師や訪問診療の記録をまとめた在宅訪問記録、検査値データなども必要に応じて薬局に提供している。「経過などを伝えておくことで、より積極的にチーム医療に参加してもらえる」と出水氏。薬局と連携してより質の高い在宅緩和ケアを目指すには、情報を積極的に提供し、より多くの患者情報を薬剤師から得ることが重要のようだ。
(文と写真◎サカイメグミ)

  • 1
  • 2
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

日経メディカル Cancer Review

この記事を読んでいる人におすすめ