日経メディカル Cancer Review

2008/6/16

特集 [08 Spring]

調査・がん診療連携拠点病院・外来化学療法の実態マンパワー、設備、報酬のすべてが足りない中の医療


がん化学療法の場が入院から外来へ急速に移行している。
全国の外来化学療法センターが直面する問題点、地域連携の在り方、医師とコメディカルの仕事の分担、在宅時の患者へのアドバイス、診療報酬上の問題点などを明らかにすべく、本誌では全国のがん診療連携拠点病院に対するアンケート調査を行った。寄せられた回答から浮かび上がったのは、不十分なマンパワーと設備で急増する患者の外来治療に挑まなければならない医療現場の姿だった。

がんの化学療法の外来シフトが続いている。図1は厚生労働省保険局医療課がまとめた外来加算を申請した医療機関の数だ。2006年は1228の病院と171の診療所が外来加算を算定しており、07年は病院と診療所を合わせて1400を超えたと推定されており、これは04年から倍増したことになる。外来化学療法を行う医療機関が増え続ける理由として、入院中心だったがん医療を少しでも外来・通院に移行させることによって、医療費の削減を図りたいという行政側の意向が反映された結果であることは言うまでもない。

しかし、そればかりではなく、がんに罹患したことによって病院や診療所中心の生活を余儀なくされてきた従来の不便を軽減したいという患者や家族の意向も要因だ。患者や家族がより豊かな生活を送ることができるように支援することが、外来化学療法施設の使命と言い換えることもできるだろう。

しかし、一方で急速に広がるがん化学療法の「質」を危惧する専門家の声も後を絶たない。さらに、「外来化学療法のレベルはその施設の臨床腫瘍学のレベルを反映している」(名古屋大学医学部附属病院外来化学療法部・安藤雄一氏)という声も聞こえるようになった。

つまり、外来化学療法への危惧は、わが国のがん化学療法全般への危惧ということになる。実態はどうか? 本誌はこのほど、がん診療連携拠点病院に指定された286病院(07年12月現在)についてアンケート調査を実施、その結果を集計した(回答179病院、回答率61.9%)。

がん診療連携拠点病院を対象とした理由は、厚生労働省が06年に公表した「がん診療連携拠点病院の整備に関する指針」の中で、「外来抗がん剤治療室が設置されていることが望ましい」としているためだ。はからずも、集計結果から浮かび上がってきたものは、患者急増に限られた人数のなかば犠牲的な精神で対応する現場の姿であり、診療報酬と現状との乖離にさいなまれる苦悩、かねてから指摘されていた施設間格差の存在だった。

外来診療の専門組織化は少数派


がん診療連携拠点病院(以下拠点病院)の外来化学療法の様子をざっと眺めてみよう。病床数では、6~10床が最も多く、次が11~15床だ(図2)。標準的な1日の患者数は11~30人という施設が大半だ(図3)。外来化学療法を専門の組織として一元化させているのは55病院。

一方で、各診療科単位で実施しているというのが114病院(64.4%)と多数派を占めた(図4)。化学療法を外来で行うには独自のマネジメントのノウハウが必要であることを考えると、専門の組織として行いたいという声が目立った。「当院は、複数の診療科参加型の化学療法センターであるために、診療時間や職種間の緊密な連携の確保に苦慮している」(関東・私立大学病院)もある。

独立した組織にできない最大の理由は、後述するようなスタッフや資金の不足に負うところが大きいようだ。外来化学療法に取り組む姿勢に診療科間に格差が生まれているという指摘もあった。「業務が増えるために診療科
によっては消極的になっている。診療報酬を上げてモチベーションをアップさせてほしい」。

国立がんセンター中央病院の田村研治氏が外来化学療法の要の一つ、処方ミスなどのリスクマネジメントの基本ツールと指摘した電子オーダリングシステムは多くの拠点病院が既に導入していた(次ページ図5)。現在は導入していないが、将来導入する計画があると回答した病院が23。一方で、「その計画がない」というところも8病院あった。

(次ページに続く)
(日経メディカルCancer Review)
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