日経メディカル Cancer Review

2008/6/16

トピックス5 [08 Spring]

肝細胞特異的MRIの進歩で肝臓CTは役割を終える


肝細胞特異的MRI造影剤の普及で、現在のダイナミックCTやダイナミックMRIの用途は今後限定的なものに
なるーー。このような予想を慶應義塾大学医学部放射線診断科准教授の谷本伸弘氏が、1月に都内で開催されたプレスセミナー(主催:バイエル薬品)で明らかにした。谷本氏がそう予想する根拠は、昨年10月に日本国内で製造販売が承認された肝MRI用造影剤「EOB・プリモビスト注シリンジ」(一般名:ガドキセト酸ナトリウム)の登場だという。

EOB・プリモビストの中心成分であるガドリニウムは常磁性の希土類元素で、磁気共鳴により励起した水素原子をより短時間で緩和するためによりコントラストが鮮明な画像を作り出すことができるために、MRIの造影剤として使われてきた。EOB・プリモビストは正常な機能を持つ肝細胞に選択的に取り込まれ、健常な肝組織画像を強調させる。一方で肝機能を失ったのう胞、転移性肝がん、ほとんどの肝細胞がんは強調されないので、両者を容易に区別することができる。

セミナーで谷本氏は造影CTで検出できなかったが造影MRIで検出できた径1cm程度の肝細胞がんや微小転移性肝腫瘍の症例を示した。そして、肝臓における画像診断法の将来を予測、現在低侵襲性検査として使用されているダイナミックCTやダイナミックMRI、やや侵襲性のある検査であるCTAPやCTHAは姿を消すか、限定的に使われることになるとの見解を述べた。同氏によれば、「今後は形態と血流を調べる超音波検査と造影MRIで十分」だという。

(日経メディカルCancer Review)

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