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化学療法アップデート [08 Spring]
慢性骨髄性白血病活発化するポスト・イマチニブ開発戦争

2008/06/16
日経メディカルCancer Review

病因遺伝子やその産物を標的にした特異的な治療の意義

 20世紀のCML治療は、殺細胞的化学療法薬や造血幹細胞移植により治療成績を上げてきたものの限界に達していた。分子標的治療薬は、それらの限界を打ち破る武器である。先駆けとなったイマチニブは慢性期CMLの10年
生存率を90%近くに上げると予想される。抵抗性や不耐容という問題についても、第2世代、第3世代の阻害薬が登場することによって、克服に近づくことになるだろう。

 CMLの原因となるPh染色体が米国Pennsylvania大学のグループから報告されたのが1960年であるから、根本的な治療薬が開発されるまで40年余りを要したことになる。Ph染色体発見からイマチニブ開発までの流れを見る
と、細胞のがん化や進行における遺伝子の分子生物学的なアプローチの重要性を痛感せざるを得ない。おそらく、CMLの治療は固形がんの治療を10年から20年先取りしているのではないか。

 冒頭に述べたように白血病は4つのタイプに分けられるが、実際に分子レベルで精査すれば50種類ほどのタイプに分かれても不思議ではない。将来はそこまで分析されたのちに、適切な治療方法が選択されることになるだろう。同様のことは固形がんにもいうことができる。胃がんや肺がんなどの固形がんが、分子レベルの解析が進展し、それぞれが50種類を超えるタイプに分類されても不思議ではない。

 非小細胞肺がんのゲフィチニブ(商品名;イレッサ)など固形がんにも分子標的治療薬が続々と開発されている。こうした固形がんも分子レベルの解析を加えることによって、より細かく分類され、それに合った治療薬が選択されるようになれば、治療効果は現在よりも飛躍的に向上する可能性があると期待している。

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