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化学療法アップデート [08 Spring]
慢性骨髄性白血病活発化するポスト・イマチニブ開発戦争

2008/06/16
日経メディカルCancer Review

経口薬イマチニブ登場 日本では欧米をしのぐ成績

 CMLや一部のPh陽性ALLでは、BCR/ABLたんぱく質のABLチロシン・キナーゼが恒常的に活性化されて、白血病化の原因となっていることは前述した。経口薬のイマチニブはABLのチロシン・キナーゼ作用を阻害する目的で創薬された分子標的治療薬である。阻害の結果、白血病細胞はアポトーシス死に至る。

 IRIS(International Randomized Study ofInterferon+Ara-C vs STI571、STI571:イマチニブの開発コード)は、未治療の慢性期CML1064例を対象に、イマチニブ400mg/日p.o.連日経口とIFNα+Ara-C(IFNα:5M/㎡/日s.c.連日注射+Ara-C:20mg/㎡/日s.c.,10日/月)を比較した国際臨床試験で、2000年6月から01年1月にわたって症例登録が行われた。

 この結果は03年に報告されたが、その結果は驚くべきものだった。Ph染色体減少効果を見る細胞遺伝学的効果では、Ph染色体が消失もしくは1~35%に減少する「MCyR」の達成率が、従来のIFNα+Ara-Cでは、22%であったのに対してイマチニブでは85%となった(表2)。18カ月時点の無増悪生存率もIFNα+Ara-Cの73.6%に対してイマチニブは92.3%(p<0.001)だった。

 前述の通り、CMLは慢性期には制御が比較的容易であるが、移行期、急性転化期への移行によって治療が困難になる。IRISでイマチニブ投与群の移行期/急性転化期への進行は1年目1.5%、2年目2.8%を記録したが、以降漸減し、高い延命効果を裏付けた。

 日本の本格的な臨床研究としては、国内唯一の成人白血病多施設共同研究グループであり成人白血病患者の50%以上を治療するJALSG(Japan Adult Leukemia Study Group)が、02年3月から06年3月に症例登録を行ったJALSG-CML202がある。489例の未治療慢性期CML(15~88歳、中央値:52歳)にイマチニブをIRISと同じ用量を投与し、36カ月間観察した(観察期間中央値)。60カ月の全生存率は94.4%、移行・急性転化なしの生存率は93.6%となった。

 厳密に比較したデータではないが、これはIRISに勝るとも劣らないデータである。この結果から、イマチニブによる治療を受けた慢性期CML患者の10年後の生存率は85%程度に達するのではないかと予想される。100%にならないのは何故かと問われれば、最も大きな原因は、イマチニブに対する耐性患者の出現である。したがって、ポスト・イマチニブの課題といえば、最初から効果を発揮しない不耐容、あるいは治療中に耐性化してしまう患者をどうするかという問題といえるだろう。

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