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連載 DPCへの移行はがん医療をどう変えるか 第4回 [07 Winter]
肺がんのステージ別分析
がん診療連携拠点病院とそのほかの病院の比較

2008/02/06
日経メディカルCancer Review

非小細胞肺がんのステージ別治療パターン

 次に、ステージ別の治療パターンをみてみよう。表2及び表3は、非小細胞肺がんに焦点を絞り、ステージ別に治療パターンを示したものである。入退院を繰り返した患者は、患者ごとにデータを統合している。ステージ別の傾向としては、ステージ1では手術(O)のみが約8割と圧倒的多数で、ステージ2でも手術の割合が他に比べて若干高くなっているが、ステージ3以降では、化学療法(C)がより多く選択されている。

がん診療連携拠点病院とその他の病院の比較

 では、がん診療連携拠点病院(以後、拠点病院)か否かで治療方法に違いがあるかどうかを見てみよう。拠点病院では、その他の病院よりも早期のステージの患者の割合が多かった(図3左)。拠点病院の方がその他の病院よりも手術を行う比率が高く、その他の病院は化学療法単独治療の比率が高いが(図3右)、この治療パターンの違いは2つのグループのステージミックスの違いによる影響も考えられる。

 日本肺癌学会が刊行している『肺癌診療ガイドライン』(日本肺癌学会編:EBMの手法による肺癌診療ガイドライン2005年版)では、非小細胞肺がんについてステージ1と2では外科治療を行うよう強く勧めている(グレードA)。これを踏まえて、ステージ別に拠点病院とその他の病院を比較してみたところ、ステージ2での「手術率」に差異が見られた(表4、表5)これは拠点病院では、“早期のステージ”に対して、より積極的に外科治療、つまり手術を実施していることを示唆している。

 また、それ以外にも後半のステージ(特にステージ4)では、その他の病院の治療選択パターンで化学療法単独が多いのに対して、拠点病院では放射線治療を組み合わせている割合が高いことも示された。これは放射線治療機器の整備が拠点病院で進んでいるというハード面の違いなども背景にあると考えられる。

まとめ

 今回はがん診療連携拠点病院とその他の病院とに分け、ステージ別の治療パターン分析を行った。ステージ別に加え、年齢や合併症の有無などの複数の要因を加味して分析を行えば、より意味のある分析になると考えられる。今回ご紹介した肺がんのステージ別分析はDPCデータのみを用いて行ったものである。

 しかし、冒頭で述べたようにDPCデータにはステージ情報に関して大きな限界がある。現在、我々はがん登録データ、他の病歴データなども活用した分析を始めている。異なるデータを統合することにより、分析結果に付加価値を付ける試みである。また別の機会に、我々の実証分析における新たなるフロンティアをご紹介しよう。

執筆者とグローバルヘルス・コンサルティングの紹介

 GHCは、米国カリフォルニア州アサートン市に本拠を構える急性期医療に特化したコンサルティング会社。もともとは米国の財団法人であるグローバルヘルス財団が外部からのコンサルティングの要請に対応するために作られた組織であり、米国の大学院の研究室のような雰囲気の中、実証分析をベースにした戦略的病院コンサルティングを行っている。日本においてはGHCジャパンを設立し活動している。ホームページ(http://www.ghc-j.com)からはブログで日々のコンサル活動を、また今までにGHCのスタッフが執筆してきたエッセーや論文などがダウンロードできる。連載の執筆はグローバルヘルス財団理事長アキよしかわとGHCジャパン社長の渡辺幸子に加えて、「がん研究班」の塚越篤子、相馬理人、濱野慎一の3名が行う。塚越はナース、助産婦として豊かな経験を持ち、相馬は歯科口腔外科医の前歴を持ち、濱野は理学博士としてデータマイニングの専門家。

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