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連載 DPCへの移行はがん医療をどう変えるか 第4回 [07 Winter]
肺がんのステージ別分析
がん診療連携拠点病院とそのほかの病院の比較

2008/02/06
日経メディカルCancer Review

 投薬や検査などを日当点によって包括化するDPCDiagnosis Procedure Combination)制度の導入ががん医療にどのような影響を与えるのかを探る連載の第4回目。様式1の入力必須項目であったがんのステージ情報が、2006年の改訂で必須項目からはずれたことは、DPCデータによって医療分析を行ううえで大きなマイナスであった。分析はこの点を考慮しながら行う必要がある。(グローバルヘルス・コンサルティング 渡辺幸子、塚越篤子、相馬理人、濱野慎一、アキよしかわ)

 前回の連載3ではがん対策基本法の柱の一つである「がん医療の均てん化」に向けた現状について、国立がんセンターの提示する乳がんの標準パスを基に病院間比較を行った。術後日数、術前検査、点滴抜去、術後抗生剤、創部消毒などの項目を比較したところ、病院間で大きなバラツキがあることが示された。今回は、「肺の悪性腫瘍」について考察を加える。

がんのステージ情報

 がん医療を実証的に分析するうえで最も重要な情報は、病期分類(ステージ情報)である。しかし、DPCが導入された当時、様式1の入力必須項目であったがんのステージ情報は、2006年4月のDPCの改訂で入力必須項目から除外されてしまった。DPCデータを用いてがんの分析を行う際、ステージ情報の欠落は非常に大きな損失である。

 筆者らグローバルヘルス・コンサルティング(GHC)は2003年に日本でDPCが導入されて以来、継続的に分析を行っているが、様式1の必須項目からがんのステージ情報が外された後の各病院のがんのステージ情報の入力状況は多種多様である。継続して記載している病院もある一方で、記載を止めた病院もあり、様式1への記載率は施設によって大きく異なる。左の表1は、肺がん患者のステージ情報がどの程度存在しているのかを幾つかの病院を例に示したものである。症例数が豊富な病院でもステージ情報の記載がほぼ皆無なところもあった。「DPCのデータを活用する」という観点から見た場合、極めて残念なことである。

 ステージ情報の欠落という大きなハンディがあることを考慮のうえで、06年7月から12月の半年間の退院患者のデータを見てみよう。ただし、病院間でステージ情報の記載には大きなバラツキがあり、また半年間という短い期間に区切られたデータであるので、結果にバイアスが生じるのは避けられない。

 DPCデータは通常、一入院を一つのデータとして扱うが、ここではこれを患者ごとに編集して、個々の患者の入退院状況を検証してみた(図1)。約8割の患者が単回入院であり、ステージ別に比較すると、予想通りステージが高くなるほど、複数回入院の割合が高くなる傾向が見られた。では、複数回入院の患者はどのような治療を行っていたのか? 複数回入院症例の治療パターンを図2に示したところ、化学療法を2回(C*2)もしくは3回(C*3)実施しているパターンが多く見られた。なかには、複数回の入院で化学療法と放射線療法(C+'C+R')を組み合わせた症例もあった。

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