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[特集]輸液療法 [07 Winter]
がん緩和ケアの味方にも敵にもなる その輸液、過剰では?

2008/01/10
日経メディカルCancer Review

KKR札幌医療センター・斗南病院|栄養も抗がん剤もCVポートを利用

 化学療法の中心となりつつある外来化学療法――。がん診療連携拠点病院を始め、本格的な化学療法を行う医療機関では不可欠な施設になっている。しかし急増する患者に限られたスタッフで対応しなければならず、「とにかく激務」という声が聞こえてくる実態もある。そこで、必要な処方箋というと、できるかぎり効率的な治療手段を選択すること、可能な限り看護師などコメディカルスタッフに権限を譲渡することだ。その2つを同時にかなえる方法として中心静脈(CV)ポートの重要性に注目が集まっている。

 8割近い患者にCVポートを増設しているというKKR札幌医療センター斗南病院の外来化学療法センターを尋ねた。

外来で高カロリー輸液が可能

 斗南病院は病床数243床で、車道をはさんですぐに北海道庁があるという典型的な都会型の中規模病院だ。2004年4月に腫瘍内科を開設、同年11月に外来化学療法センターを開設した。センターはベッド14床、チェアー2床で、06年の1年間で182人、1910件の外来化学療法を実施した。同病院の治療の最大の特徴は、CVポートを経由した抗がん剤の投与の割合が多いことだ。1910件のうち、78%がCVポートを利用して化学療法を受けている。

 医長の辻靖氏によると、CVポートを造設する理由は、(1)血管外漏出事故の予防、(2)進行大腸がんの標準レジメンであるFOLFIRI・FOLFOX療法の外来施行がしやすい、(3)入院期間を短縮、(4)モルヒネ持続投与など、終末期医療においても活用可能、そして5番目が外来で高カロリー輸液が可能という点だ。

 血管外漏出の事故を予防するという観点からいうと、実は欧米では起壊死性、起炎性抗がん剤を使用する場合にはCVポートの利用が推奨されている。ドキソルビシン、ドセタキセル、パクリタキセル、ビンブラスチン、ビノレルビンなどがそうした薬剤に該当する。

 同病院の外来化学療法を利用する患者のがん種を見ると、大腸がんが32%、胃がん16%、膵臓がん10%、胆道がん4%と消化器がんが多いという特徴がある。この点も、同院がCVポートを重視する理由だ。進行して経口摂取ができなくなったときの状態を予め説明し、「高カロリー輸液ができる」ということで納得する患者が多い。実際、高カロリー輸液を行うことでより長期間を在宅で過ごすことが可能だという。また腕が細く、注射困難になっている患者の多くが「1回で刺すことができるなら」といって、埋め込みに同意するという。

きめ細かい説明は看護師が行う

 斗南病院の外来化学療法センターの特徴として、忘れてならないのは看護師の役割だ。専従看護師は5人。「4人は非常勤だが、専従とすることで重要な戦力になっている」(辻氏)。通院する患者の在宅での過ごすうえでの諸注意、起こりえるトラブルの説明は看護師の仕事だ。

 外来化学療法・点滴センター副看護師長の奥山めぐみ氏によると、繰り返し説明を求められる事柄は、(1)ポートを埋め込む方法、(2)ポートの入れ替えの必要性、(3)入浴やシャワーの可否、(4)自動車を運転する場合の注意など患者が違っても共通する事柄が多いので、そうした質問にはイラスト入りの冊子を作成しているという。

 この冊子には、ポート埋め込みには「局所麻酔を使用します」「レントゲン室で1時間かかります」「皮膚を切開して、埋め込むので1週間後に抜糸します」「最低1泊の入院が必要となります」など具体的に説明される。入浴やシャワーについても「針を抜いて、2時間が過ぎてから入浴してください」、自動車の運転に際しては「シートベルトがポート部に当って痛い時は、ガーゼやタオルで保護すると良いでしょう」と説明されている。どうしても、シートベルト着用ができないときは、医師からの診断書をもらうことで、罰金を免除されることまで書かれている。

トラブルもまず看護師が対応

 ルート確保も看護師が行うべきというのが、同病院でのコンセンサスだ。奥山氏によると「トラブルが起こっても、すぐに医師を呼びにいくことはせず、看護師同士で意見を交換し、医師の判断が必要と考えられたときに限って呼びにいく」という。辻氏がCVポート設置115例を2年2カ月間観察した結果、7人(6.1%)にカテーテル断裂、カテーテル位置異常が認められた(メーカー調査ではカテーテル断裂事故発生率は2004年11月~06年12月まで約0.11%)。カテーテル断裂に対してはカテーテルロック時を無理に進めない、位置異常についてはカテーテル先進部を深めに留置するなどの対策をとることによって回避可能であるという。

 鎮痛剤、輸血にもCVポートを使う。辻氏は「CVポートは安全で確実であり、外来化学療法を行ううえで大変有用」と話している。

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