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●トピックス4 [07 Autumn]
血管内皮細胞数が血管新生阻害薬のバイオマーカーとして有望

2007/10/30
日経メディカルCancer Review

 血管新生阻害薬の投与において、循環血管内皮細胞(CEC)の数が、効果を予測する可能性のあることが、肺がん患者を対象とした国立がんセンター中央病院の研究で明らかになった。同病院計画治療病棟支援施設の小泉史明氏らが、第11回がん分子標的治療研究会総会(2007年7月5~6日、大阪)のワークショップ「血管新生阻害剤の基礎と臨床」の中で発表した。

 循環血管内皮細胞(circulating endothelial cells:CEC)や骨髄由来の血管内皮前駆細胞CEP(circulating endothelial progenitors:CEP)は、虚血性心疾患や膠原病において、その数が増加することが知られており、転移性乳がんなどの固形がん患者でもCEC数が予後に関連するとした報告がある。

 現在は近畿大学医学部ゲノム生物学講座教授である西尾和人氏を中心に、国立がんセンター肺内科および計画治療病棟支援施設の研究グループは、血管新生阻害薬のバイオマーカーを特定するための共同研究を3年前に開始。今回の発表では、非小細胞肺がん(NSCLC)における結果が報告された。

 未治療進行NSCLC患者31人にカルボプラチン+パクリタキセル(CbP)療法を、既治療NSCLC患者27人にはS-1療法を行い、CECとCEPの数を測定した。

 まずCEC数は、ベースラインにおいてCbP療法(未治療)群では平均595±832/4ml、S-1療法(既治療)群は121±120/4ml と、健常人44±47/4mlに対し、いずれも高値だった。またCbP療法群では腺がんのほうが扁平上皮がんよりも有意に高値を示した(p=0.028)。

 治療開始後、CbP療法群において、CEC数は8日後には平均176/4ml、22日後173/4mlと顕著に減少した。一方、CEP数は8日後には減少したが、22日後にはベースライン値に戻っていた。TS-1療法群においてもCEC数は減少したが、CbP療法の結果ほど、顕著な変化は見られなかった。

 次にCbP療法群を奏効性でわけたところ、ベースラインでは、PR(部分奏効)群およびSD(不変)群のほうが、PD(進行)群よりもCEC数は高値を示したが、治療後、ベースラインを基準とすると、PR群、SD群では減少したが、PD群では増加する傾向が認められた。TS-1療法では、こうした傾向は見られなかった。さらにベースラインでのCEC数で2群に分けた結果、高値群のほうが、無増悪生存期間(PFS)は有意に長いことが分かった。

 これらの結果から、「CEC高値では、腫瘍の血管性が高く、一般的にはそれが予後不良につながる」が、「パクリタキセルといった血管内皮障害作用のある薬剤の投与においては、ベースラインのCEC値が効果予測マーカーの可能性があり、患者選択を可能にするだろう」と研究グループは結論付けた。

 さらにCECの有用性を確認するため、初回治療としてカルボプラチン+ゲムシタビン投与患者を対象にした研究がすでに開始しており、KDR阻害薬であるAZD2171およびE7080についても、CECやCEPの測定がほぼ終了し、今後詳細が報告される予定であるという。

関連サイト:ASCO(転移性乳がんでのCEC数が予後を予測

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