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[ルポ・がん医療の現場] [07 Autumn]
がん患者の口腔を守れ がんセンターと地域歯科医が連携
静岡県立静岡がんセンター&静岡県歯科医師会

2007/10/12
日経メディカルCancer Review

静岡県歯科医師会、
サンスターと連携


 大田氏の活動は院内にとどまらない。がん患者の口腔ケアを普及するために、まずは地元で歯科診療に当る静岡県立歯科医師会の会員たちに呼びかけた。2006年6月から県東部の5地区で、大田氏が講師になり、歯科医師会の会員を対象に講習会を開催、「がんとはどのような病気か」というテーマから始まって、口腔合併症の症例、連携の流れなどについて説明してきた。がんセンターで本格的な治療が始まる前に、歯科医を受診する。または、外来で、がんセンターで放射線照射の治療を受けながら、地元の歯科医院には唾液の分泌を促す薬剤を受け取るといった連携が始まっている。「口腔ケアを静岡がんセンターの中でとどめたくなかった。診療報酬の裏づけもなく、最初は協力を得ることが難しかったが、最近では積極的に対応してもらえるようになった」と大田氏。

 静岡県歯科医師会長の飯嶋理氏は、「以前はがん患者さんが歯科医院を訪れても病状やがん治療の影響がわからず、病院歯科を薦めることがありました。静岡がんセンターとの医療連携でがん患者さんの治療状況についての情報提供が受けられるようになり、患者さんの全身状態をしっかりと把握して、安全な歯科治療を行うことができるようになった」と語る。同会専務理事の竹下朝也氏も、「高度医療を提供する歯科が身近にあることで交流が生まれ、開業歯科医は刺激を受け、医療への認識も深まる」と効用を指摘する。

 歯科医に加え、静岡がんセンターのもう1つのユニークな連携は、オーラルケア製品のメーカーであるサンスターとの提携だ。がんを含む患者の口腔ケア用品は、通常の市販品とは異なる機能を持っているべき可能性がある。言い換えると、患者や加齢に伴う脆弱者に対して付加価値を持つ製品を提供するビジネスチャンスが存在していることになる。今年7月、静岡がんセンターとサンスター静岡研究所は共同で「がんで入院する患者さんのための口腔ケアセット」を開発、静岡県内で試験販売を始めている。

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