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特集 Japan-Korea DIF Meeting 2007 [07 Autumn]
TS-1のベストパートナーは誰か
議論白熱・胃がんの化学療法

2007/10/09
日経メディカルCancer Review

 2007年7月、韓国から100名の参加者を迎えJapan-Korea DIF Meeting 2007が開催された。席上TS-1を基本とした切除不能・進行再発胃がんに対する最良のレジメンは何か、胃がん術後補助療法としてのTS-1の有用性を検討したACTS-GC試験の成績をどう評価するかといった点が熱く議論された。

韓国から100人、日本国内から800人の消化器専門医が参加した(写真◎清水真帆呂)

切除不能・進行再発胃がん
TS-1 basedの最良のレジメンとは?


 TS-1(テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤)は、第2相試験において示された高い奏効率などに基づき、既に日本の臨床現場では切除不能・進行再発胃がん(Advanced Gastric Cancer:AGC)に対する新たな標準治療として位置づけられた感がある。一方で、日本国内で進められているSPIRITS試験ではTS-1単剤療法に対するシスプラチンとの併用療法の優位性が示されるなど、AGCに対するTS-1を基本としたレジメンが検討されており、同会議においても韓国、米国、日本から様々なレジメンを用いた臨床試験の成績が報告された。

日本からはTS-1単独、TS-1 +
シスプラチン併用療法が報告


 日本からは、2007年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)で報告され、世界的に関心を集めたRandomized phase 3 study of 5-fluorouracilalone versus combination of irinotecan and cisplatin versus S-1(TS-1)alone in AGC(JCOG9912)とRandomized phase 3 study ofS-1(TS-1)alone versus S-1(TS-1)+ cisplatin in the treatment of AGC(The SPIRITS 試験)について、改めてその内容が示された。

 JCOG9912は、現在もAGCに対する臨床試験のreference armである5-FU単剤持続注入療法(5-FUci)群を対照群に置き、イリノテカン(CPT-11)+シスプラチン(CDDP)併用(CP)療法については優越性を、TS-1単独療法については非劣性を同時に検証しようというものである。主要評価項目は全生存期間(OS)、副次評価項目としてTTF(Time to Treatment Failure)、非入院生存期間(NHS)、有害事象、奏効率が挙げられている。それぞれのarmについては、図1に示す治療が行われた。

 その結果、主要評価項目であるOSにおいて、CP群の5-FUci群に対する優越性は検証できなかったが、TS-1群の非劣性は証明された(図2)。加えて、TS-1群の毒性は軽微であり、奏効率、TTF、NHS、さらには無増悪生存(PFS)においても5-FUci群を上回る傾向を示したとプレゼンターの静岡県立静岡がんセンター消化器内科部長の朴成和氏は述べた。

 もう一つの日本からの報告であるSPIRITS試験については、北里大学医学部消化器内科学准教授の小泉和三郎氏がプレゼンターを務めた。TS-1 + CDDP併用療法は、AGCを対象とした第1/2相試験において奏効率76%という高い抗腫瘍効果が認められていることから、TS-1単独療法に対する優越性が期待されたことが試験の背景となっている。

 SPIRITS試験は、図3に示す形で、主要評価項目を全生存期間(OS)、PFS、TTF、奏効率、安全性を副次評価項目として行われた。なお、単独群の生存期間中央値を8カ月、併用群のそれを12カ月と想定した場合に、両群間に統計学的有意差が現れる数として、各群142症例の登録が必要と算出された。

 登録症例は、最終的に単独群150例、併用群148例、計298例に達した。両群間の患者背景因子に統計学的有意差は認めなかったものの、併用群にdiffuse typeの組織型の症例、転移臓器数3以上の症例、腹膜播種症例が多い傾向が認められていた。成績については、主要評価項目であるOSにおいて単独群に対し併用群で有意な生存期間延長が認められた(図4)。また、PFSは単独群の4.0カ月に対して併用群は6.0カ月と有意に長かった。

 有害事象については、併用群にgrade 3/4の白血球減少、好中球減少、貧血、食欲不振が多く発現していた(表1)が、両群ともに治療関連死は認められなかった。小泉氏は、不利な予後因子を持つ症例が多い傾向があったにも関わらず上述の成績が認めたことから、TS-1 +CDDP併用療法群はAGCに対する一次標準療法に位置づけられるとした。

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